インクルーシブデザインワークショップ
~ ブランディングテクノロジー × NPO法人コラブル ~
私たちは現在、「インクルーシブデザイン」というテーマのもとCSR活動を行っています。
このテーマでの活動を行ったきっかけは、私たちのCSR活動のモットーである「多様な人々とふれあって、自分たちの価値観を広げること」という考えが、「インクルーシブデザイン」の「高齢者、障がい者、外国人など、従来、デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法」という発想がシンクロし、さらにこの発想が「共生社会の実現」において重要な考えの一つであると感じたからです。
引用元:「インクルーシブデザイン・ソリューションズ」
デザインプロセスから除外されてしまうのは決して「社会的弱者」だけではありません。お腹の大きい妊婦さんが感じる日常の不自由さや、我々が外国に行ったときに感じる言語による不自由さの要因も、デザインプロセスから除外されていることにあるのかもしれません。
つまり、誰にでも時と場所が変われば、デザインプロセスから除外されたことから生じる不自由さを感じる可能性があるのです。
私たちの「デザインは」、本当の意味で多様な人のニーズに応える、優しさに溢れたものになっていると言えるのか?
それをまずは体験すべく、リードユーザーと呼ばれる実際に視覚に障がいをもつ友人を招き、彼の協力のもとワークショップを開催しました。
彼は弱視でぼんやりと周囲が見える程度で、何かを読むときは対象物にかなり近づかなければ認識することができません。
そんな彼が、インターネットで調べものや、お店や病院などを予約するとき、どのような不自由さを感じどのような方法で目的を達成することができるのか、そのプロセスを見ていきました。
今回は歯医者を予約する体で、PCの起動から歯科医院の検索、予約フォームの入力まで行ってもらいました。
まず、彼がパソコンを開いて真っ先に行うことは、色調・コントラストの反転です。
背景を黒にし、文字を黄色にすることで、通常(私たちが見ている画面)の見えにくい状態を改善します。
(ちなみに、コントラスト反転後の見えやすさはOSによって違ったり、反転後の見えやすさもブラウザによって異なるようです。)
次に、歯科医院のポータルサイトから最寄りの歯科医院を検索し、予約フォームの入力までやってもらいました。
ここからは様々な「不自由さ」が見つかりました。
まずは院内の雰囲気を伝えるための院内写真ですが、この画像は色調のコントラストを反転することで画像を識別できず見えなくなっていました。
その他にも入力箇所を囲む枠が消えていることで、記入場所をカーソルをあてた後のポインターの変化で識別していたり、予約フォーム入力後、エラー箇所を赤字で示されていたとしても背景の黒と同化して見えなかったりとスムーズに目的を達成することはできませんでした。
院内画像が消えてしまっています。
ここまで私たちの知らなかった事、普通に使っているだけでは気づきえなかったことがたくさんありました。それら様々な気づきや発見をメンバー間で共有しました。
今回のワークショップで出た気づきから、次回はWEBデザイナーやプログラマーを呼び、多様な人が使いやすいデザインがどんなものなのかを一緒に作っていきたいと考えています。
そしてゆくゆくは、障がい者や高齢者のためのデザインをするのではなく、障がい者や高齢者をデザインプロセスに巻き込み、共に考え、時には一緒に手を動かしながら想像力を働かせ、彼らと新しい商品やサービスを生み出すことが、私たちのゴールです。
今後も毎月19日はインクルーシブデザインの日とし、多様な人をデザインプロセスに巻き込み、「優しいデザイン」というテーマを掘り下げていきます。
今回のワークショップ開催に伴い、支援団体の1つである「NPO法人コラブル」さんにご協力いただきました!
ありがとうございました。