「地方住宅業界の今までとこれから。成功している企業が行ったデジタルシフト」LIFULL様・ミカタ様登壇セミナーレポート大公開!
ブランディングテクノロジー株式会社は、2021年2月2日に開催した「ローカルビジネスカンファレンス2021」にて、「地方住宅業界の今までとこれから -成功している企業が行ったデジタルシフト-」と題して、住宅や工務店、不動産のデジタルシフトに関するセッションを行いました。本記事では、そこから得られたナレッジをレポートとして公開いたします。
目次
本セッションの登壇者
ブランディングテクノロジー株式会社 マーケティング推進課 原口拓郎
株式会社LIFULL HOME’S事業本部 営業グループ長 福尾武史
ミカタ株式会社 代表取締役 荒川竜介
セッションの要点
成功している企業は「仕組み化」を行っている
- 業務フローを整理しスタッフの役割を明確化した上で、実際のオペレーションの中で自動化した方がいい部分をデジタルに置き換えている
- 追客、内覧、接客、SNSの更新など、「誰が・いつ・どうやって行うのか?」までも仕組み化する
- 「圧倒的な数字を叩き出す営業マン」が一人いる企業よりも、「仕組み化により生産性の高い組織運営」を行えている企業の方が、利益を創出しやすい
コロナで起きた市場の変化は?
原口簡単に本日のご説明をさせていただきます。
本日は「ローカルビジネスカンファレンス2021」と銘打ちまして、ブランディングテクノロジーとWACULとの共催でカンファレンスを行っています。
本パートはローカルビジネスの中でも住宅業界に特化したパートでございまして、不動産業界についてはミカタ株式会社代表取締役の荒川竜介様、建築工務店業界については株式会社ライフルの福尾武史様にお話いただきます。
そして私はブランディングテクノロジーの原口拓郎と申します。
昨年から続くこのコロナの影響によって、「2つの業界は何が変化したのか?」「これからはどういう会社が生き残っていくか?」といった内容で本パートは進めさせていただきます。
原口 まず不動産、建築業界ににおいてコロナで起きた市場の変化は、どんなことがありましたか?
福尾変化で言いますと、インターネットで情報収集する人が増えたというのが言えるのかなと思います。こちら弊社のユーザー問い合わせの推移になります。
媒体としての認知も上がってきて、おかげさまで問い合わせ数も右肩上がりで推移しています。右端の緊急事態宣言明けの6月が、最も反響・資料請求が多かった月でもあります。
「ステイホーム」で家にいるように生活が限られている中で、モデルハウスやイベントに行けなくなった反動で、インターネット上はものすごく活発に、さらに加速したのが変化だと言えます。
原口 やっぱり、ステイホームで自宅にいらっしゃることがあって、ネットで情報する収集するような方が増えたようですね。
福尾 また別の影響としては、家にいる時間が多いのでお客様の住宅に対するニーズの変化がありました。住宅に求める条件が「仕事専用スペースが欲しい」「宅配ボックスが欲しい」など追加されましたね。
あと、「遮音性」のキーワードが上位を占めるようになってきてるのが、あからさまにコロナの影響かなと思います。「リモート」や「在宅勤務」「非接触」などがすごくニーズとして顕著に現れているグラフかなと思います。
原口 仕事用のスペースを求めて家を買うみたいな形式って、もともとは少なかったのでしょうか?
福尾 そうですね。お父さんの要望は最優先ではなく、子供を優先されていたと思うのですが、コロナの影響もあって、そういった「リモートワーク」「在宅勤務」のニーズが出ているのだと思います。
企業側は、そういったニーズに応えるようにしないといけないかなと思います。
原口 ありがとうございます。不動産業界は如何でしょうか?
荒川 不動産業界はですね、コロナの陽性者数と不動産の売り出し件数を昨対比で相関を出してみました。コロナの陽性者が増えると売り出し物件が減る、という反比例の動きをしていますね。
理由はいろいろあると思うんですけども、物理的な理由が大きいかなと思います。
不動産売却には、「絶対に不動産売らなきゃいけない方」と「不要不急な状況で高く売れるなら売りたいな」という方の大きく2つに分かれると思います。でも、後者が減ったと想定しております。
また、リモート勤務が普及して転勤を取りやめる企業も増えているので、そのようなことも売り事情にダイレクトに影響しているかと思います。
また、もう1つのデータがあって23区の坪単価のコロナ前後の推移ですが、若干上がってます。
先ほどの福尾さんの話に通ずるところではありますが、住まいに関する需要やニーズが高まってきているので、価格が上がっているのかなとは思います。
原口 ということは建築業界はニーズが変化しているけども、不動産業界に関してはそこまで大きな変化はなく、売り出し件数が少し減ったかなというところでしょうか。
コロナの状況下で企業側はどのような状況だったか?
原口 それでは次の質問にいきます。今のは市場の話だったと思うのですが、その状況に対し、不動産・建築会社のみなさまはどのような動きをされているのでしょうか?
荒川
結論、影響なくてむしろ儲かっていると思います。
特に中小・ローカルビジネスに該当する方々は、儲かっているんじゃないかという話を聞きます。
賃貸はちょっと苦しそうですが、売買においては過去最高益なんて話も聞きましたね。
ただ大手さんは苦戦していると聞きます。理由は緊急事態宣言中、店舗を閉めたりしていたので。営業日数ベースで売り上げが落ちていると聞きました。
大手は世の中への見せ方もあるので、営業時間の削減をしないといけなかったので売り上げが落ちています。そこで逃したお客様が、中小企業に流れて逆に活発なのかなと。
原口 工務店・建築会社さんは、コロナでどういったことをやられていたか、どういう状況だったかは如何ですか?
福尾 今、荒川さんの方からも話ありましたよね。コロナの影響っていうのは、全体的にそこまで影響してないって言ってもいいのかなっていう感じですね。
店舗とかモデルハウス展示場をメインに集客を図っている会社様だと、どうしてもイベントをやって来場させることがやりづらくなっているので、大手系は影響があったかなと。
ただ様々な対策をされているので、その辺は非接触とか、後の影響は少ないかなと。工務店さんに関しては、そんなに大きな影響は受けてないと言えそうです。
変化でいうと、資料を参考にお話させて頂きます。
どこも営業は基本的には、直接訪問ではなくオンラインでの商談はオンライン会議システムを使ってやっています。
コロナの影響の新たな営業手法ということでオンライン商談が注目浴びていますが、積極的に導入する会社様が、比較的上手く来場とか来場前のお客様との接触で導入されている会社様が出始めたかなと。
ただ、まだまだ地域密着の会社様とか工務店様とかで行くと、普通にお客様と直接お会いしてるケースが多いですね。ユーザー側が求めている部分もありますので、今後は一つの営業手法として導入されていく企業が増えると思います。
原口 私もお客様から相談受けることがありますが、オンライン商談を導入するにあたり、まず何から始めることが1番大事というものはありますか?
福尾 様々ツールを使われたりすると思うのですが、対面であれオンラインであれ、最初にどんな話をするか?が重要です。ひいてはお客様がどういう情報を求めているのか?という話になってきます。
結論、ユーザーが問い合わせをしている段階では「どの会社を選ぶか?」の前に、「家ってどうやって建てるの?」という情報収集を行われていると思います。
そういった、情報提供をいかにするかっていうところを念頭に置いて、お電話なのか資料で送るのかオンライン商談で伝えるのかって話なので。手法と言うよりも何を伝えるかってところ結構大事かなって思いますね。
原口 なるほど、ありがとうございます。
荒川 私も一つやるべき事はあるかなと思っていて、それは「ネット回線の整備」ですね。意外とおざなりな会社さんが多いと思います。お客様とオンライン商談していると固まってしまったりとか。
パソコンにそもそもカメラがついてないという話もあるので、まずはPC・カメラ・ネット回線の最低限のハード環境は整えて下さいということが多いですね。
原口 結構リアルですね。
成功している中小・地方住宅業界における企業の共通項とは
原口 こういう状況の中で成功しているとか、コロナの影響受けずに今でも成長を続けている、うまくいっている会社様はどういったことに取り組んでいらっしゃるのかというお話を頂けますでしょうか。荒川さんお願いします。
荒川 結論というか、コロナ対策はもちろんやるべきだと思ってるんです。でも、成長している企業様を見ていると、コロナ対策だけでなく事業の根本の所に対して、ちゃんと手を打っておかないと厳しいのかなと思っています。
不動産業界はどうしても人口に左右するビジネスなので、人口減少によってどんどん先細りしていくと思います。そういった状況に対して、真剣に手を打ってる会社が生き残ってるかなと思っていまして。
それを私なりに分解したのがこちらですけれど。
不動産業で言うと大きく4つの業種があると思います。賃貸仲介があって売買仲介があって買取・自社分譲、賃貸管理が業態としてはあるかなと思っていて。
この4つを、うまくシナジーを生む形で掛け合わせている会社さんだったりとか、もしくは1つに特化している場合でも、他のサブで1つの事業をとがらせることができる武器と掛け合わせる会社様が結構強いというか、今も成長されてるんですね。こういった企業様はほとんどコロナの影響を受けていない印象です。
原口 ちなみにこのテックのところですが、集客のところはいわゆるデジタルマーケティングの領域だと思うのですが、効率化のテックというのはどういったものがありますか?
荒川 それは会社によりますね。効率化がうまくいってないケースで言うと「テクノロジーを入れることで効率化ができる」と思ってる会社様ですかね。順番で言うと効果が出ることに対して効率化を図るって言う順番なので。
その効果が出るかどうか未知数のまま、テックを入れて「全然駄目じゃん」みたいなケースっていうのは結構耳にします。
弊社の媒体「ミカタストア 」は、いろんなテック会社さんのサービスの情報を掲載してるで、「オススメはどれ?」「何入れればいいの?」って言われるんですけど、逆に「何したいんですか?」とお話させて頂きます。
そこが明確じゃないとお答えもできないですし、それは本当にやる必要があるのかっていうところまで深掘りしないといけないですね。ツールありきで考えない方がいいかなと思ってます。
原口ありがとうございます。建築業界の方は如何でしょうか。
福尾 荒川さんのお話は全くその通りだと思います。成功されている会社ってどんな取り組みするかでいくと会社の規模関係なく、分業化・仕組み化している会社かなと思います。
社長1人の会社でも、社長の身体が分業化している会社が成功しているなと思うので、規模はあまり関係ないですね。
そういう仕組み化、分業化されている会社は弊社のようなポータルサイトをどこのものを使っても成果を出してらっしゃるのですが、そこができていない会社は何をしても成約につなげられていないケースが多いですね。
そうなると、何やってもダメなのでツールよりも仕組み化をやっていくことが必要かと。
建築業界でいうと、今まではご紹介のお客様とか業者さんの紹介とかで結構受注に繋がっていたと思うんですよ。ただ最近は、やはり先ほど話したインターネットでの情報収集が基本になってきたので、ユーザー主導で動いていることは間違いなく言えます。
工務店さんも、やはり待ちの姿勢って言うよりも攻めていかないと、待ってても仕事はこないですね。
こちらが先ほどお話しした紹介の案件が発生したんですね。
その方に対して、お店とか店舗にきてもらって、見積もり・提案の流れでしたけども、弊社のようなポータルサイトもしくはホームページをしっかり作られているホームページから問い合わせをするって言うユーザが多い中で、その方に情報提供して資料提供して来場を促すためには、様々な業務が必要であると思います。
ですので、業務が増えてるけれども人は増えてないというのが今の建築業界の状況かなと。だからこそ仕組み化をしていくのが必要かなと思います。
原口 ありがとうございます。デジタルネイティブの時代になってユーザーが情報収集をネットでするようになったので、いろんなニーズが発生していろんな業務が発生するので、少人数でも回せる仕組み化が必要だと。
福尾 そうですね。
荒川 社長の脳味噌分業は大事です!
福尾 お客様から「大きい会社じゃないからできないよ!」と仰られることがあるんですが、「本当ですか?」と問うことは多々あります。
例えばパートさんとか活用できてますかとか、営業じゃない方とかも仕組み化すれば接客はできますので。そこまで考えると規模は関係ないかなと思います。
荒川 そうですね、頭ごちゃごちゃになっちゃってる方も多いですよね。
福尾 そうですね。「人がいないからMAツール入れたい」とかはその典型ですね。
成功している企業の共通項は「仕組み化」
原口 デジタル活用ができてる会社様は、このツールを入れてるという話の前に仕組み化が徹底されてるって言う所が、お二人の話がから要約できるところかなと。
不動産業界も建築業界も、お客様に合わせてやらないといけないこととか、選ばないといけないチャネルは違うと思うんですけど、先程からお話しに上がってるように社長様の脳みそがもう頭が整理できてない状態だと「あれ何やっていいんだっけ?」となりますし、伴って従業員の方が「何したらいいの?」という事象が起きてしまうので生産性落ちる原因になるのかなと。
今までは、例えば工務店のカスタマージャーニーを例にお話させて頂きますと、年間30棟までは広告を打って反応があったお客様、いわゆる顕在層を刈り取っていけばよかったと思うのですが
さきほど福尾さんがおっしゃった通り、やらないといけないこと、業務が増えたので例えばMAを入れるとかメールで、LINEで追客するみたいな話って結構で業界的に出てきてると思うんです。
じゃあ、そのツールを入れたからといってすぐ効果が出るわけではないと。なので準顕在層に対してのアプローチをしていくために、その刈り取りを行っている段階から仕組み化していきましょうという話であると思います。
じゃあ、仕組み化すればそれでいいかというと、やはり仕組み化した後にはKPIを置いて、数字を可視化して業務をやっていかないと会社として生産性上がらない、という話も荒川さんの方からあったと思います。
これはあくまで例ですが、問い合わせを増やすマーケティングの役割を持つ方と、問い合わせ後の成約までを責任持っている営業を経営者の方が可視化してPDCA回せているか、というのが重要だというのが我々3社の見解でございます。
では、具体的なこういった仕組み化とか含めて、成功してるお客様の実際の状況・行ったことをお話しいただきたいと思います。
実際に成功している工務店・不動産会社の成功事例紹介
福尾 工務店でいうと、先ほどお伝えした仕組み化・分業化というところから、より具体的なお話になります。
とある注文住宅を販売やられている会社で従業員数20名、設立20年位の会社様で、この会社様がやったことは「過去リストの掘り起こし」です。
よくあるのが建築会社様はいろんな媒体、メディア、ホームページなどに広告を掲載して問い合わせを獲得していると思うのですが、そこから営業をかけていって1~2回接触を図って放置されているケースが多々あると思います。
そうなると、「使った媒体は効果なかったな。次のを使おう」ってなりやすいと思いますが、地元で住宅を検討する方はそもそも有限ですし、検討が短い人もいれば長い方もいらっしゃる。
過去に問い合わせした方に、再度営業を仕掛けて行こうということで取組を始められました。
本来ならば、営業の方にそのままリストを渡していたんですけれども、この会社様はインサイドセールス(内勤営業)の方が電話・メール・ショートメール・オンライン商談を取り入れて過去問い合わせした方にご連絡をしました。
すると、「直近で考えてるよ」という方が出てきたり、「直近では検討しないけれども、まだ家を探している・会社を探してるよ」というお客様が出てきたり。
直接「直近で検討してる方はそのまま営業にかけてくださいね」と商談を促していき、「直近の検討は無いけどもまだまだ検討してます」という方に対しても、このインサイドセールスが継続的に情報提供であったり関係構築していく分業制を取っていらっしゃいます。
具体的には、過去400件のリストに対してアクションして、90件の接触。広告掲載せずに90件なのでかなり大きな数字だと思います。
その中には長期検討の方とか「もう他で家建ててしまったよ」という言うお客様もいらっしゃるんですけれども、そこからアプローチかけて24商談を獲得したのはかなりの率ですよね。
長期検討が70件ほどありますけれど、これもインサイドセールスって言う役割もあって継続的にアプローチしていくことで、リサイクルの営業をしたいとしてインサイドセールスがアプローチした結果、分業化とか仕組み化する。それが明確に現れた良い事例かなと。
原口
ありがとうございます。かなり成果が出てらっしゃいますね。
質問なのですが、インサイドセールスの方がご連絡するきっかけ、どういう理由でお電話したり、メールでご連絡したりするのがいいのでしょうか。
福尾 先ほども軽くお話させて頂きましたが、やはりお客様は住宅を建てる上で情報や知識を求めているので、そこは情報提供に徹するのがいいのかなと思います。
例えば「見学会きませんか?」とか「モデルハウスができたんですよ〜」は、やはり営業感が出てしまう。
「その後検討如何ですか」から「ローンのことお悩みではないですか」とか「最近は平屋が若い方にも人気なんですけど、その資料をお送りしましょうか?」みたいな、検討するにあたってのお客様の選択肢を増やしたりお悩みを解決する話がいいと思います。
営業の方がご連絡すると、男性のベテラン営業の方が電話がかけるとちょっとお客様はちょっと警戒してしまうと思います。
そうではなく、パートさんとかでも後何気なく雑談みたいな形で、「資料請求半年前にありがとうございます」「その後どうですか」「子供さん大きくなられましたか」みたいな感じで、お客様の事情を少し踏み込んで話をお聞きするスタンスで継続的なコミニケーションから、最終的に選択される会社、つまり育てていくようなスタンスでのやり方が1番いいんじゃないかなと思います。
そういう風なやり方をされて成功されてるかなと思いますね。
原口 ありがとうございます。
荒川 そういった方は新しくスタッフを採用されてらっしゃるんですか?
福尾 それは様々なパターンがありますね。まずは外部に委託して内部にその機能を持ってもらうパターンもあれば、元々いらっしゃる方にその業務をやってもらうパターンもあります。
ただ、中小の企業様は後者のパターンが多いのかなと。
原口 ちなみにせっかくなのでお聞きさせて頂きます、ポータルサイトの成約率をあげるには何をしたらいいですか?
福尾 「初動と継続」ですね。良い提案をされても遅かったらダメですし、一回だけではダメです。
通常お客様は2~3社資料請求をしたり、見積もりを取っているわけです。そこで選ばれるためには、資料を送るスピード、電話をするスピードが重要かなと思います。
ただ、そこでご連絡がつかない場合もありますので、最低でも3ヶ月はご連絡するようにしていただきたいかなと思います。それ以降とか1年に1回にDMを送るとかって言うような取組も重要です。
初動の速さと継続的なアプローチこの2つの掛け合わせないと意味がないと思います。
これをやっている会社は絶対成功していると思います。
原口
ありがとうございます。「初動と継続」大事ですね。
不動産業界の事例を荒川さんの方からお願いいたします
荒川 はい、それでは不動産業界のお話をさせていただこうと思います。世田谷にあるグランクルー様と言う会社で 社長1人と事務さん2人体制の計3名でやっていてらっしゃる会社様です。
もともと社長様がずっとトップセールスを歩んでいる方で、人脈だけでもやっていける会社様なのですが、自分の人脈だけではいつか先細っていくのでそこが怖いから、ちゃんと新規のお客さんを取り込んでいきたいという課題をあげられていました。
「それでは、ちゃんと新規のお客様を獲得できる仕組みを作りましょう」ということでご支援させて頂いております。
20年はまだ集計中なんですけれども、売り上げで言うと年間9倍ぐらい上がったっていうのが実績としてはあります。働いている人数は変わらずです。
どこから始めたかというと、「やることやらないことを明確に分けましょう」という整理をするところから始めました。
この会社の特性として社長がほとんどいないんですよ。事務所にいない。
それなので「割り切って外注にしちゃいましょう」がまず一つ目の提案。
二つ目は、社長がニーズの薄いお客様に対応している時間がないので、「長期的な追客に関しては事務の方に任せましょう」とお話させて頂きました。
アポイントが発生するまでの流れを、「こうきたらこう動く」というルールを全て言語化して事務の方が考えなくても、「これをしたから次これしなきゃ」っていう状況を作りました。
他にも他決した案件をルールを決めて追いかけるとか、いろんなルールを決めたことがまずやった事です。
やらなかったこととしては、社長の時間が取られないようにすることが重要だったので、例えば他社の客付案件は基本やらない。自社で両手だったらやるけれども、他の物件見たけど他の会社行ってくださいと割り切る。
また会社案内の立ち会いもやらない。もちろん売主によってはやらないといけないケースもあるんですけれども、基本的にはやらないっていうルールで運用したりとかですね。
後はこの社長様はwebが得意じゃないところもあったので、オンライン商談はやらないというルールで今運用してます。
原口 お客様がオンライン商談を望まれた場合はどうされてるんですか?
荒川 「うちやってません」というだけですね。確度が高いお客様は実際に来訪されますし、それでお断りされるお客様に対しては割り切る、っていう考え方でした。
正しいかどうかはまだ正確に出ておりませんが、「あれもやるこれもやる」というよりかは、「これはやらない」と決めた方が強みが活かせるところで戦えますので。
原口 もうひとつ質問で、他決案件もルールを決めて追客する目的、またその方法はどんなものでしょうか。
荒川 他決する案件って、多くは他社さんが高い査定金額を出して売主さんが高い金額のところにお任せするって言うことで取られちゃうことが多いんですけれども。
でも、結局高く預かったとしても、実際にはくれないことが多くて、売主さんはどこかのタイミングでその高預かりした業者に愛想つかして切り替えをすることが起きるんですよ。
またそれを取るのが目的ですね。
原口 やり方はどんな手段がありますか?
荒川 私がデータを取ったのですが、大体半年後に切り替えする方が確率として多いんですね。他決してから半年後の日付をゴール地点として、まず「取られた瞬間にお手紙を送りましょう」「次に本に送りましょう」「1週間後にメールを送りましょう」「3週間後にまたメールを送りましょう」という話をさせて頂いております。
全部スケジュールを決めるので社長が送らなくてもよくなるんですね。
ここまで来たら事務の方でも対応できるので、そこを事務の方にやってもらっているというのがこの会社様の取組です。
原口 そういった、仕組み化とか役割した上で、「じゃあここって効率化できるよね」みたいなところをツールを入れて自動化していくって言うところが大事そうですね。
荒川 最初は全部Excelで顧客管理もしてましたけど限界が来たので、そこからちゃんと顧客管理しようとなり、かつメールもそこで送れるものを入れようということで、ツールを入れさせて頂きました。
原口 ありがとうございます。他の事例はありますか?
荒川 やはり、仕組み化しましょうということでルール決めをしている会社さんが、結構成功してるかなと思ってます。
この会社さんは全部分業をしている会社です。
二つの役割を兼務している方もいらっしゃるのですが、チームとしての成果をはっきりさせようということで、そのチームの成果に対して「Aさんはこの役割」「Bさんはこの役割」ということをはっきりルール決めされていますね。
反響からの物件案内を目標にしているのであれば、お客さんとまず電話をつなげて物件の案内までこぎつけるって言うところがKPIなります。そしてその数字をちゃんと取ると。責任持たせる形ですね。
逃したお客さんに関しては、物件紹介を定期的に周期を決めておいて、それをやったりとかですね。物件案内も全て個人別で数字つけて数字を管理して、そこでダメだったやり方をフィードバックしたりとかロープレしたりとかですかね。
不動産会社だと結構個人に任せちゃうケースがあるんですが、この会社さんはその個人に任せて失敗したケースがあったので、どちらかというと均一化を目指して平均的に勝てる組織を作ろうとします。
原口 そこまで仕組み化されてらっしゃるところが成功してるというですね。
まとめ
原口 本日お二人のお話をお聞きして、勝てる生き残る工務店・不動産会社は「仕組み化と業務フローの整理」をやっているといえそうです。
じゃあその仕組み化化っていうのはどうやっていけばいいのか?ということに関してはまずは業務フローを整理しましょうということですね。
その業務フローを整理した上で次に役割定義をしましょうと。その役割定義の後に運用していく中で、ここは自動化できるかなっていうところを改善していくためにデジタルシフトをおこなっていくって言う流れをとらないと、ツールありきの導入だと成功しないですって言うのは今日お話しさせていただいた福尾さんも荒川さんも業界関わらず同じことが言えるのかなと思います。
また、業界的にスポットビジネスで受注してから受注するまでは長いですけど、一度受注してから追加発注いただくって言うことがBtoCの中でも少ない業界だと思いますので、属人的になりがちだと言うところはあるかなと思います。
なので我々からの1つ持ち帰っていただきたいところは、これからの業界に関しては1人のエース社員で成り立っている企業、これは社長様含めですが、社長様お一人で売り上げを作ってる会社様ではなく、エース社員はいないけれども仕組み化によって社員全員が生産性高く働いて利益創出してる会社って言うのが強いのではなかろうか、という話は本日のまとめでございます。
まずはここから考えてみませんかというところを表にまとめてみました。
不動産・建築会社様はいろんなチャネル・媒体で集客されていらっしゃると思うのですが、じゃあその1次対応は誰が、どこで、いつ、どうやってやるのか、その指標ってどれを追っていくのみたいなところは、まだまだ地方の会社様だと少ないのかなと思います。
まずは1次対応は、「オンライン商談はいつやるの?」「長期の追客はどうやってやるの?」みたいなところを考えていただければなと考えています。
結構、「内覧・接客は誰やるか?」「ブログ、SNSは誰がどう更新するのか?」は社内で決めてらっしゃる会社様が多いと思いますが、上の3つがちょっと傾いてらっしゃる会社様が成功していると言うところで言えば、こういったところも考えて頂ければということをまとめとさせて頂きます。
福尾さん、荒川さんありがとうございました!
さいごに
ブランディングテクノロジーでは、こういったマーケティングの仕組みだけでなく、ブランディングの支援を行っております。
建築・不動産業界に関して精通したスタッフがヒアリングの後、最適なご提案をさせて頂きますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
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