私たちが社会で生活している中で、ときに見えない壁を感じることはないでしょうか?この見えない壁は、人々の生活や機会に大きな影響を与えています。SDGsの目標10は、この壁、すなわち人々と国々間の不平等をなくすことに注力した目標です。
本記事では、SDGs目標10の重要性、それを構成する10個のターゲット、そして世界各地での取り組み事例を深掘りしていきます。
また、私たちが日常生活でできることや、正しい情報を得る方法も紹介します。
この記事を最後まで読むことで世界や日本に存在する不平等の現状を理解することにつながります。是非理解を深め、企業あるいは一人の人間として、一緒に不平等を減少させる一歩を踏み出しましょう。
この記事でわかること
- SDGsとその目標10の概要
- 目標10の重要性と現状
- 具体的な取り組み事例と私たちができること
こんな人におすすめの記事です
- SDGsに関心があるが初心者の方
- 社会問題や不平等に敏感な人
- 教育者や学生
目次
SDGsとは
SDGsとは、「持続可能な開発目標」と訳される国際的な目標です。2015年に国連により策定され、全世界の国々が協力し、2030年までに達成を目指しています。
その中の17の目標は、貧困の撲滅、健康と福祉の向上、教育の普及など、多岐にわたる課題に取り組む内容を含んでいます。これらは相互に関連し合い、一つ一つが重要な役割を果たしており、目標達成のためには、それぞれの目標が結びついていることを理解することが不可欠です。
SDGsの17の目標
SDGsの17の目標は次のとおりです。
SDGsの17の目標
- 貧困のなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- すみ続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
これらは持続可能な未来のために重要な要素として挙げられ、それぞれが独立した目標ではなく互いに関連し合うものになっています。
SDGsの目標10とは~人や国の不平等をなくそう~
SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」とは、経済的、社会的な格差を解消し、すべての人々が平等な機会を享受できる社会を目指すことです。この目標では、所得格差の是正や、人種、性別、階級などに基づく差別をなくす取り組みが求められています。
特に、経済成長に伴い広がる貧困層と富裕層の格差を縮め、社会的公正を実現することが重視されています。
参考:国連広報センター
構成する10個のターゲット
SDGsの目標10には10個のターゲットがあります。これらは経済的不平等の是正を目指しています。
10個のターゲット
- 所得下位40%の所得成長率を国内平均を上回るようにする。
- すべての人が年齢、性別、障害などに関わらず社会的に包含されることを促進する。
- 差別的な法律や慣行を撤廃し、機会均等を確保する。
- 税制、賃金、社会保障政策を通じて平等を拡大する。
- 金融市場と金融機関の規制とモニタリングを改善する。
- 開発途上国の国際経済・金融制度における参加と発言力を拡大する。
- 秩序ある移住政策を通じて安全で規則的な移住や流動性を促進する。
- WTO協定に従い、開発途上国への特別な待遇を実施する。
- 政府開発援助や海外直接投資を通じて、ニーズの大きい国々への資金流入を促進する。
- 移住労働者の送金コストを3%未満に引き下げる。
これらのターゲットは、所得格差の縮小、社会的公正の実現、金融の透明性向上など、不平等の減少に重要な役割を果たしています。
SDGsの目標10が必要な理由
SDGsの目標10が重要である理由は、世界中で存在する様々な格差や不平等を是正し、すべての人に平等な機会を提供するためです。
この目標には、広がる貧富の差を減少させる、命の格差を減少させる、伝統的習慣による格差を解消するという3つの重要な側面が含まれています。
広がる貧富の差を減少させるため
SDGsの目標10の重要な側面の1つは、広がる貧富の差を減少させることです。現在、世界の富の大部分は少数の人々に集中しており、「99%のための経済」の実現が求められています。
この貧富の格差は、教育や健康サービスへのアクセス不平等、社会的緊張の増大、政治的不安定など、多くの社会問題を引き起こす要因です。目標10は、所得格差の是正と、すべての人々に公平な機会を提供することを目指しています。
命の格差を減少させるため
SDGsの目標10における「命の格差を減少させるため」は、貧困層と富裕層間の健康に関する不平等を是正することを目指したものです。具体的には、医療へのアクセスの不均衡、栄養不足、清潔な水へのアクセス制限など、貧困層は富裕層に比べて健康問題に直面する可能性が高くなります。
このような状況は、生活の質の低下を招くだけでなく予防可能な病気や早期死亡のリスクを高めます。目標10では、これらの健康格差を縮小し、すべての人に平等な健康と福祉を提供することを目指しているのです。
伝統的習慣による格差
SDGsの目標10における「伝統的習慣による格差」は、文化や伝統が生み出す社会的不平等に注目したものです。例えば、一部の社会では、性別や民族、宗教的背景に基づく習慣が教育や雇用の機会を制限しています。
これらの伝統的習慣による差別は、個人の能力や潜在力を抑制し、社会的な進歩を妨げる要因となっています。
伝統や文化の尊重と、公平な社会構築のバランスを取ることが、目標10達成への鍵となります。
世界のさまざまな格差や不平等
世界中では、さまざまな形で格差や不平等が存在しています。これらは経済的、社会的、文化的な背景に基づいており、人々の生活や機会に大きな影響を及ぼしています。
特に経済的な格差、人種や性別、移民や難民といったマイノリティに対する不平等、そして社会保障制度における不均衡など、多くの課題があります。これらの格差を理解し、改善するための取り組みが、SDGsの目標10の核心です。
世界的な規模の格差
世界的な規模で見ると、経済的、教育的、健康面における格差が深刻な問題となっています。経済格差では、富の集中と貧困の拡大が進行中で、特に発展途上国では基本的な生活資源へのアクセスが限られています。
教育格差においては、質の高い教育を受ける機会が一部の人々に限られ、多くの子どもたちが教育を受けられない状況です。健康面では、医療サービスの不足や質の問題が顕著で、特に貧困層やマイノリティは健康リスクが高まっています。
これらの格差の根本的な原因は、経済的不平等、社会的な制度や構造の不備、教育や医療への不平等なアクセスにあります。
これらを解決するためには、包括的かつ持続可能なアプローチが必要です。
人種・マイノリティ・女性・移民難民などへの不平等
世界各地でみられる、人種、性別、民族、移民難民など特定の集団に対する不平等も深刻な問題の一つです。
例えば、多くの国で女性やマイノリティが教育や雇用の機会に制限を受けており、これが経済的格差や社会的排除を招いています。
また、移民や難民は言語や文化の違い、法的な制約などにより社会的サービスへのアクセスが制限されていることもあります。これらの問題を解決するには、教育や雇用の機会均等、法律や政策による保護の強化、そして社会的意識の向上が必要です。
こうした取り組みによって、社会全体の包摂性と平等を実現することが、SDGsの目標10の達成に向けた重要なステップとなります。
社会保障に存在する不平等
社会保障制度の不平等は、国によって異なる医療、年金、失業保険などのサービスの質やアクセス性に現れています。発展途上国や経済的に困難な国々では、十分な社会保障が提供されていないため、住民が健康や経済的な安定を得ることが困難です。
これに対し、国際的な取り組みとしては、国連や各国政府、非政府組織が協力し、資源や知識の共有、技術支援などを通じて、社会保障制度の改善を目指しています。特に、持続可能な開発目標の一環として、全ての人々が基本的な社会保障サービスを享受できるようにすることが重要な目標とされています。
SDGsの目標10への現状と取り組み事例
SDGsの目標10に関して、日本や世界各国での現状と具体的な取り組み事例を見ていきます。これらの事例を通じて、目標10達成に向けた取り組みの重要性とその影響を理解できます。
SDGs目標10の日本と世界の現状
SDGsの目標10に関する現状は、世界的にも日本においても、多くの課題を抱えています。
世界では、所得の不平等、教育や性別、貿易における不平等が顕著です。所得の不平等は、富の集中と貧困の拡大を示し、教育や性別においても機会の不均等が見られます。
日本では、相対的貧困が問題となっており、7人に1人が中央値未満の収入で生活しているとされています。
これは、国内の所得格差を示す重要な指標です。
これらの課題に取り組むためには、包括的な政策や社会的な意識改革が必要です。
SDGs目標10の日本の取り組み事例
日本におけるSDGs目標10の達成に向けた代表的な取り組みとして、ダイバーシティ経営は良い例です。
この経営手法は、国籍や人種、性別、宗教など様々な背景を持つ人材を積極的に採用し、彼らの能力を最大限に発揮させる環境を提供することがポイントです。
これにより、新たな技術革新や価値創造に繋がるとされています。日本の多くの企業がダイバーシティ経営を採用し、職場環境の改善や従業員の満足度向上に努めています。
しかし、まだまだ多様な人材の能力を十分に活かす仕組みの構築や、社内外の意識改革には課題が残っているのが現状です。
SDGs目標10の世界の取り組み事例
世界的にSDGs目標10の実現に向けて活動している主要な機関の一つがUNDP(国連開発計画)です。
UNDPは170カ国で活動し、技術支援や資金提供、政策提言を通じて、貧困根絶やジェンダー平等の実現などの取り組みを支援している機関です。
日本は、UNDPの主な支援国の一つであり、特にアフリカ開発や中東の安定化プロジェクトへの資金援助をおこなっています。
これにより、開発途上国の人々が安全な飲み水を確保したり、投票権や働きがいのある職を得たりする効果が見られています。
UNDPの取り組みは、各国の不平等問題解決において重要な役割を果たしており、その成果と学びは今後のSDGs達成に不可欠といえるでしょう。
SDGsの目標10を達成するために私たちにできること
SDGsの目標10を達成するためには、私たち一人一人ができることがあります。ここでは、SDGsの目標10を達成するために私たちができることについて詳しく解説します。
正確な情報を知る
SDGs目標10を達成するためには、正確な情報を知ることが重要です。情報を得る方法としては、信頼できるニュースソースや公式報告、学術論文などを活用することが挙げられます。
また、国際機関やNGOの発行する資料も有効です。これらの情報を通じて、不平等の実態や原因、影響を深く理解できるでしょう。
このような知識は、社会に対する意識を変え、不平等に対する取り組みに対する支持や参加を促す可能性があります。個々人が正しい情報を得て行動することは、社会全体の変化を促す重要なステップです。
格差や不平等・差別について考える機会をつくる
SDGs目標10の達成には、日常生活で格差や不平等、差別について考える機会を積極的に作ることが重要です。これには、討議会や勉強会の開催、関連する文献や映画の鑑賞、オンラインフォーラムやSNSでの意見交換などが有効です。
これらの活動は、差別や不平等の問題に対する理解を深め、対話を通じて意識を高める機会を提供します。
個々が積極的に学び、議論に参加することが、社会全体の変化を促進する一歩となるでしょう。
SDGs目標10の現状を理解し私たちできることを取り組もう
SDGsの目標10に関する記事を通して、私たちが理解し取り組むべきポイントは明確です。この目標は、人や国の不平等をなくすことに焦点を当てており、そのためには正確な情報を知り、格差や差別について考える機会をつくることが不可欠です。
日本や世界各国での取り組み事例を見ることで、具体的なアプローチとその効果を理解できます。また、企業が公開しているSDGsに関する情報を確認することでも知識を得られます。これらの情報を活用し、私たち一人ひとりがSDGs目標10の達成に向けて行動することが重要です。
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