ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは、経営において達成したい目標や進みたい方向性や提供する価値を多くの人が理解できる言葉にするためのフレームワークです。
「経営判断や事業判断の基準が明確にならない」
「人事評価において従業員から不満が挙がっている」
ミッション・ビジョン・バリューを定めていないとこのような課題に直面することがあります。
この記事では、ミッション・ビジョン・バリューの決め方や必要性が理解できます。また、実際に企業の課題をミッション・ビジョン・バリューのフレームワークを活用して解決した事例も紹介いたします。
ミッション・ビジョン・バリューを明確にすることで、経営リソースの無駄を省くことができ、課題解決に向けて最短のアプローチを実施できるため、ミッション・ビジョン・バリューを設定していない人は、参考にしてください。
この記事でわかること
- ミッション・ビジョン・バリューの概念
- ミッション・ビジョン・バリューの必要性
- ミッション・ビジョン・バリューの決め方
- ミッション・ビジョン・バリューの事例
こんな人におすすめです
- 経営判断や人事評価に明確な基準が欲しい経営者
- ミッション・ビジョン・バリューを決めたい経営者
目次
バリューとは?ミッション・ビジョンとの違いは?
ミッション・ビジョン・バリューと(MVV)とは、企業の共通価値観を表すフレームワークです。
バリューとは、その1部分のことを指しており、この章では、ミッション・ビジョン・バリューそれぞれの役割や概念について解説します。
バリューとはミッション・ビジョンを実現する為の手法
バリューは、ミッションとビジョンを達成するために必要な価値基準のことです。バリューには、「社会に対して提供する価値」と「社員が大切にする共通の価値観」の2つがあり、どちらをバリューに定めるかは自由です。
バリューは定期的に見直す必要があるとされています。理由は、ミッション・ビジョンを達成するために必要な価値基準を時代や環境にあわせてアップデートをする必要があるためです。
ミッションとは企業の存在意義そのもの
ミッションとは、企業が達成する使命や役割のことです。
要するに「なぜ、その会社が存在するのか」「どの様な世界を目指しているのか」に対する回答がミッションに当てはまります。
未来を基準にして考えるもので、恒久的なものとされているため、基本的に変更することはありません。
ビジョンとは中長期的に達成する目標
ビジョンとは、中長期的に達成する目標のことです。主に3年〜10年以内に達成する目標を表しています。目標を設定する際に、数値目標でなくても企業が到達したい未来の姿をビジョンとして設定することも多くあります。
ビジョンは、ミッションの様に恒久的なものではないため、見直しや変更が可能です。目標としていた年数が経過した場合や環境の変化により方向性を改める必要がある場合に見直されます。
企業においてミッション・ビジョン・バリューはなぜ必要か?
ミッション・ビジョン・バリューの役割や概念については前述しましたが、なぜ必要なのかについては疑問が残っているでしょう。
この章では、ミッション・ビジョン・バリューがなぜ必要なのかについて解説します。
経営判断や事業判断の基準が明確になる
ミッション・ビジョン・バリューが必要な理由の1つ目は、「経営判断や事業判断の基準が明確になる」からです。
会社や事業の成長には、日々の経営判断が重要です。ミッション・ビジョン・バリューを決めていないと、重要な経営判断をその時の感情で判断してしまい、会社や事業が思わぬ方向に進んでしまうリスクがあります。
しかし、ミッション・ビジョン・バリューを決めている場合は、判断の基準をすでに持っているので、その時の精神状態で判断することを防ぐことができます。判断の基準をもつことで、経営に多くある判断のタイミングで常に一貫した判断の実現が可能です。
人事評価の基準が明確になる
2つ目の理由は、「人事評価の基準が明確になる」です。
企業の成長において、公正な人事評価は重要な要素です。ミッション・ビジョン・バリューが定まっていないと、何を基準に人事評価を行っているのかが不明瞭なため、社員からの不満が挙がったり、離職率が高まったりするデメリットがあります。
そこで、ミッション・ビジョン・バリューを定めることで、社員全体に求められている行動を浸透できると同時に、公正な人事評価の構築に役立つでしょう。
人事評価の基準を明確にすることで、社員のモチベーションが上がり人材育成や人員配置をより有効にすることができます。
自社にマッチした人材を採用しやすくなる
3つ目の理由は、「自社にマッチした人材を採用しやすくなる」です。
会社の売上や利益を上げていくには、自社の理念に共感してくれる優秀な社員の採用が必要不可欠です。ミッション・ビジョン・バリューを定めていない企業の場合は、求職者側もどのような会社なのか十分に理解できないまま応募をするため、会社の理想と現実のギャップに乖離を感じてしまいます。
ミッション・ビジョン・バリューを定めることで、会社のミッションに共感をしてくれた求職者が応募をしてくれるため、より自社にマッチした人材を採用しやすくなります。
さらには、理想と現実のギャップが小さくなるため離職率の低下にもつながるでしょう。
企業のミッション・ビジョン・バリューはどうやって決めるのか
この章では、実際にミッション・ビジョン・バリューを定めるには、どのような手順で作成するべきなのかについて解説します。
企業の存在意義を表すミッションを検討する
ミッション・ビジョン・バリューを定めるには、まず企業の存在意義を表すミッションを検討する必要があります。
言い換えれば、自社は何のために存在しているのか、社会にどのような価値提供をしていきたいのかを深く検討しましょう。
多くの場合は、創業者が創業した思いを言葉にして経営陣に共有をします。従業員の意見を吸い上げたい企業や小規模なスタートアップ等では、経営陣がミッションの大枠をまとめて、従業員に対してアンケートを実施したり、意見交換の場を設ける方法もあります。
ミッションは、企業の存在意義を端的に表す言葉なので、最後はシンプルで多くの人が分かる文言にしましょう。
この数年で達成したいビジョンを検討する
ミッションを定めたら、ビジョンの検討に移ります。ビジョンは、短くて3年長くて10年で達成する中長期的な目標を指します。
設定するビジョンは、企業が目指す姿の場合と数値を目標にする場合があり、どちらを検討しても大丈夫です。企業が持つ競争力や短期的に目指したい方向性を考えながら、意見交換の場を設けましょう。
ポイントは、従業員が共有する合言葉のように分かりやすく短い言葉にすることです。それにより、社内の従業員1人1人が、同じ方向をむいて仕事を行うため、一体感が生まれます。
行動指針を示すバリューを検討する
バリューは、ミッション・ビジョンを実現するための提供価値や行動指針を示す言葉です。組織として大切にしたい文化や行動として表現されます。
バリューを検討する際はミッション・ビジョンをもとに、それらを現場の従業員と一緒に達成するにはどうすればいいのかを話し合う必要があります。話し合いの過程で集めたいくつかのキーワードをバリューとして整理しましょう。
バリューは複数個決めても良いですが、多すぎても覚えるのが大変になり、本末転倒なので5個程度が目安です。
企業のミッション・ビジョン・バリューの事例
この章では、中小・地方企業のブランド戦略とデジタルマーケティングを専門とするブランディングテクノロジーが、クライアントの課題をミッション・ビジョン・バリュー(MVV)フレームワークを活用して解決した事例を紹介します。
ケイジェンド・プロダクツの事例
この事例は、採用に軸を置いたリブランディングの事例です。
採用強化のために、ビジョン・企業理念・バリューを見直し、求職者側に自社の強みを伝えて多くの社員を獲得することに成功しています。
株式会社トータルホームの事例
営業課題解決のために必要な、新卒採用強化のためのリブランディング事例です。
これまでは、地元で就職したい求職者に対して求人を出しており、求職者側もエントリーした複数社の内の1つで、あまり思い入れはありませんでした。
しかし、ミッション・ビジョン・バリューを定めて、発信することで経営理念に共感した求職者がエントリーするといった共感型採用を成功させ、採用ブランディングの強化に成功しています。
企業のミッション・ビジョン・バリューはいつ決めるのか
ここまでは、ミッション・ビジョン・バリューの必要性や作り方を紹介しました。
この章では、実際にミッション・ビジョン・バリューを決めるタイミングとして適切なタイミングについて解説します。
ミッション・ビジョンを決めるタイミング
ミッション・ビジョンを決めるべきタイミングは、起業時が適しています。最初から進むべき方向が明確になっていれば、問題が起きても改善しやすいというメリットがあるからです。
さらに、起業したばかりの頃は、事業戦略の方向転換をすることが多くあります。方向転換の際に譲れない方向性を持っていないと、選択肢が多すぎて当初の予定とは全く違った方向に方向転換してしまう可能性があります。
しっかりと事業の方向性に軸を持たせたい場合は、ミッション・ビジョンが必要です。
すでに起業をしている場合や事業を走らせている状態でも、まだ決めていないのであればできるだけ早い段階で決めることをおすすめします。
バリューを決めるタイミング
ミッション・ビジョンは経営方針そのものとも言えるので、起業時に決めるのがベストですが、バリューは社員全員の行動指針となるものです。そのため、現場で働いてくれる従業員がある程度揃ってからバリューを決めることをおすすめします。
前述しましたが、バリューは現場で働いてくれる従業員と話し合いながら決めることで、社内全体に浸透するので、必ず話し合いの場を設けましょう。
まとめ|企業に将来を示すバリューを設定しよう
ミッション・ビジョン・バリューは、企業の根っことなる非常に重要な概念で、経営判断や従業員の行動指針となります。
事業を大きくしていく組織を作るには、必ず必要になります。
もし、現時点で自社のミッション・ビジョン・バリューが定まっていない場合は、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、ミッション・ビジョン・バリューは、定めただけではその力を発揮しないこともあります。事例にもあったように、外に発信することで、採用強化やブランディングを高めることもできます。
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