「経営理念とビジョンの違いとなんだろう?」
「ビジョンを策定するメリットは?」
こんな疑問を持ったことはありませんか。経営理念とビジョンについて明確な違いや作ることでどのようなメリットがあるのか、明確に理解している人は少ないのではないでしょうか?
この記事では、経営理念とビジョンを作ることによるメリットと作成方法について深く掘り下げています。
読むことで、自身が経営または所属する組織にとってより有益な経営理念とビジョンを作成できるでしょう。
ぜひ、この記事を最後まで読んでいただき、自社に適した経営理念とビジョンを作成していきましょう。
この記事でわかること
- 経営理念とビジョンの違い
- 経営理念とビジョンを作るメリット
- 経営理念とビジョンの作成方法
こんな人におすすめの記事です
- 生産性を高めたい経営者
- 中間管理職やリーダー
- 企業文化の改善を狙う人事担当者
目次
経営理念とは何か?
企業が掲げる経営理念とは、企業の存在理由や活動の根源的な指針を示したものです。創業者や経営者によって作られ、企業の文化や価値観を体現しています。
つまり経営理念は、社内外に向けてその企業がどのような使命感を持ち、何を大切にしているのかを伝える役割を担っているといえるでしょう。
内部的には、従業員のモチベーション向上や一致団結を促す基盤となり、一人ひとりが自分たちの仕事に誇りを持ち、組織としての目標に向かって努力するための共通の理解を促進します。
経営ビジョンとは何か?
経営ビジョンは企業の未来図であり、経営理念に根ざし、企業が目指す具体的な将来像を描きます。経営理念が抽象的な存在であるのに対し、経営ビジョンはより実現可能な具体的な形として捉えられるでしょう。
明確な将来像は、従業員が共通の目標に向かって力を合わせる動機付けとなるため、日々の判断や行動の基準となります。さらに、ビジョンは求職者にとっても魅力的な指標となり、価値観を共有する人材の獲得に繋がります。
ポイント
時代の変遷とともに、経営ビジョンもその内容を更新することが求められることがあり、経済情勢、技術の進歩、市場の変化などを考慮し、柔軟に見直すことで、企業は持続的な成長を遂げることができるでしょう。
また、企業が掲げるビジョンは、社員はもちろん、顧客やビジネスパートナーにとっても、その企業がどのような未来を目指しているのかを理解する一助となります。
経営ビジョンとMVVの違い
MVVは、ミッション、ビジョン、バリューを指します。ピーター・F・ドラッカー氏によって提唱されました。
ミッションは、企業が社会に対して担うべき使命や役割を明示するものであり、企業が根底に持つ理由、「なぜその事業を行うのか」を示し、企業が長期間にわたって持続すべき核となる理念に基づいたものです。
ビジョンは、企業が未来に向けて描く具体的な目標や姿勢です。「将来、どのような企業になりたいのか」を視覚化したものです。
ミッションが「今、ここで我々は何をすべきか」という質問に答えるのに対し、ビジョンは「将来、我々はどこへ向かうのか」という問いに答えるものです。
バリューは、ビジョンやミッションを実現するために従業員が持つべき価値観や行動規範を示します。「どのように振る舞うべきか」という行動指針を具体的に示し、企業文化の一部として従業員に浸透させるためのものです。
経営理念とビジョンの違いとは何か?
経営理念は「経営者の信念に根差した行動指針」であるのに対して、経営ビジョンは「企業の未来図」といえます。
つまりビジョンは、経営理念に根ざした企業が目指す具体的な将来像を描き、組織全体の針路を明確にする役割を果たします。そのため、経営ビジョンは変革の具体的な旗印となり、組織の一体感を醸成するでしょう。
その明瞭な将来像は、従業員が共通の目標に向かって力を合わせる動機付けとなるため、日々の判断や行動の基準を提供できるといった点が経営理念との違いといえます。
経営理念とビジョンが経営に及ぼすメリット
経営理念とビジョンが経営に及ぼすメリットは次のとおりです。
- 会社の方向性を示せる
- 社員のモチベーションアップ
- 社風に合った人材の確保
それぞれについて詳しく解説していきます。
会社の方向性を示すことができる
経営理念とビジョンは企業運営における指針となる重要な要素です。
経営理念は、企業の基本的な価値観や信条を表し、社員が共有すべき理想像を提示するでしょう。
一方、ビジョンは将来の目指す姿を描き、長期的な目標の設定に役立ちます。これらを明確にすることで、社員は自身の業務が企業の全体目標にどう貢献しているかを理解しやすくなります。
経営理念とビジョンを効果的に活用することで、企業は持続可能な成長を遂げることができるでしょう。
これらは、企業文化を形成し、ブランドイメージを強化するうえでも重要な役割を果たし、経営理念とビジョンの策定は、企業の成功を左右するかもしれません。
社員のモチベーションの向上
経営理念とビジョンの明確化は、社員のモチベーションを高める鍵となります。
社員が自分の業務が会社のビジョンとどのように繋がっているのかを理解すれば、日々の仕事に対する意欲は自然と高まるでしょう。
自らの役割が明確であればあるほど、社員は自分の仕事に価値を見出し、自分自身が会社にとって重要な存在であると感じるようになります。
また、経営理念が社員に深く浸透すれば、企業と社員間の信頼関係はより強固なものになるでしょう。
社風に合った人材の獲得が可能
就職を考える人は自分の仕事の価値観と合う社風の会社を探すことが多いです。
企業側は、ミッション、ビジョン、バリューを明確にし求職者とミスマッチが起きないようにすることで、社風に合った人材を獲得できる可能性が高まるでしょう。
経営理念とビジョンの作成方法
経営理念とビジョンの作成方法は次のとおりです。
- 経営者の考えの洗い出し
- 会社の将来像をイメージ
- 何度も修正する
- 社内外の浸透度合いの確認
それぞれ解説していきます。
経営者の考えの洗い出し
経営理念とビジョンを作成する際、経営者自身の考えを言葉にすることが重要です。この過程では、企業の存在理由や将来像に関する深い思考が求められます。
まず、経営理念が固まったら、自社がなぜ存在するのか、すなわち企業がどのような価値を提供し、どのニーズに応えるのかを明確にしましょう。
次に、世の中に広めたいと思う企業のメッセージや理念を考えます。これは企業のミッションと密接に関連しており、社会にどのような影響を与えたいかを示すものです。さらに、企業がどのようにして社会に貢献するかも考慮する必要があります。加えて、10年後、100年後の企業像についても思索します。
ポイント
企業が目指す中長期的なビジョンと、その達成に向けたロードマップを定め、経営理念やビジョンが単なる文書ではなく、経営戦略や社員の行動指針として機能するようにするためには、経営者の深い洞察と熟考が不可欠です。
会社の将来像をイメージする
次のステップは会社の未来の姿をイメージすることです。
明確にされた「現在の事業内容」「事業環境」「会社の価値観」をベースに、数年後の姿をイメージします。イメージを基に事業を継続するか、中断するか、新事業に挑戦するかなどを決定していきます。
何度も修正する
一度完成した経営理念とビジョンを何度も修正しましょう。自社のカラーが表れているか、社内外に浸透しやすいかなどを納得いくまで何度も修正を行うことでより精錬されていくでしょう。
また、第三者からの意見を取り入れ、独りよがりなものにならないようにしていくことも重要です。
社内外の浸透度合いの確認も重要
何度も修正を行って完成した経営理念とビジョンは、社内外で浸透されているかを確認するのが効果的です。
社内での浸透度合いの確認にはアンケートの活用、社外では外部調査や検索数などの推移で確認し、適宜確認しましょう。社内外の浸透度合いが増すほど御社のブランド強化が促進されます。
下記の記事でブランディングテクノロジーが行った事例を紹介していますので、ご興味のある方は是非参考にしてみてください。
参考:中小企業のリブランディング成功ポイント~当社事例をもとにした社名変更と企業ブランド再構築の進め方~
経営理念の実例
経営理念の実例を2社、紹介します。
- KDDI
- TOYOTA
それぞれ見ていきます。
KDDI
KDDIは以下の企業理念を掲げています。
“KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求し、お客さまの期待を超える感動をお届けすることで、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。”
出典:KDDI 企業理念
この企業理念に謳われた使命を果たしていくために、「KDDIフィロソフィ」という全5章からなる、考え方・価値観・行動規範となる指針も制定して取り組んでいるのが特徴的です。
TOYOTA
トヨタ自動車は、創業以来今日まで、トヨタの経営の核として「豊田綱領」なるものを貫いており、現在は「トヨタフィロソフィー」と呼ばれています。
トヨタグループの創始者である豊田佐吉の考え方をまとめたもので、同社のDNAとなっています。
引用:トヨタフィロソフィ―
経営ビジョンの実例
経営ビジョンの実例を2社、紹介します。
- ソフトバンク
- IKEA
それぞれ見ていきます。
ソフトバンク
ソフトバンクグループは、「情報革命で人々を幸せに」という企業理念を体現するために、以下の企業ビジョンを掲げています。
「300年間成長し続ける企業グループ」
「戦略的シナジーグループ」
「次の時代を担う後継者の育成」
これらは、特定のテクノロジーやビジネスモデルにはこだわらず挑戦し、自己進化と自己増殖ができる集団となり、これからの日本を担う後継者の育成までも行うという、指針を示しています。
IKEA
「より快適な毎日を、より多くの方々に」
「優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファニッシング製品を幅広く取りそろえ、より多くの方々にご購入いただけるようできる限り手ごろな価格でご提供すること」
顧客だけでなく、IKEAのコワーカーとサプライヤーにも向けられており、組織全体の方向性を示しています。
IKEAは優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファニッシング製品を幅広く提供し、できる限り手ごろな価格での提供を目指し、多くの人々が高品質な製品を手に入れることが可能になっています。
一方、ビジネス理念では、このビジョンを具体的なビジネス戦略に落とし込んでいます。
例えば、製品の手ごろな価格を実現するために、保管コストや輸送コストを下げるための企業努力が挙げられ、コスト削減だけでなく、環境への配慮や効率的な運営を推進することにも寄与しています。
IKEAの経営ビジョンとビジネス理念は、顧客の満足度を高めると同時に、持続可能なビジネスモデルを確立するための基盤となっているのです。
経営理念とビジョンを社内に浸透させましょう
ポイント
経営理念とビジョンは企業が目指す未来を指し示し、社内外の浸透度合いによってブランディング力が大きく変わります。
経営理念とビジョンを深く追求することで、企業に様々なメリットをもたらすでしょう。
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