SDGs(持続可能な開発目標)とは、国際社会が2030年までに達成を目指す17の目標と、それを具体化する169のターゲットから成り立っています。環境、経済、社会のバランスを考慮したこれらの目標は、私たちの未来をより良いものにするための道しるべです。
しかしながら、詳細についての理解や具体的に何をしたらよいのか分からないケースも多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、SDGsの基本から、具体的な取り組み例、成功するためのポイントまでをわかりやすく解説します。
企業にとっては、ビジネスチャンスの創出やブランディング強化、社会問題の解決などのメリットがあり、個人も日々の行動から貢献が可能です。本記事の解説を基に企業または個人として取り組む参考となるでしょう。
この記事でわかること
- SDGsの基本的な概念と構成要素の理解
- 企業がSDGsに取り組むことのメリットと実践的な取り組み方法
- SDGsへの取り組みで注意すべきポイントと、成功例の提示
こんな人におすすめの記事です
- 企業のCSR担当者や経営層
- 持続可能性に関心のある学生や研究者
- 社会貢献や環境問題に関心がある一般の読者
目次
SDGs(持続可能な開発目標)とはどのような取り組みなのか?
SDGs(持続可能な開発目標)とは、国連が掲げる2030年までの国際社会の目標です。17の目標と169のターゲットから成り立っており、環境、経済、社会の三つの次元をバランス良く進めることが重要視されています。
これらは5つのPに基づいており、全ての国が持続可能な開発を目指して取り組むべき課題とされています。
特に、ウェディングケーキモデルは、SDGsの目標が相互に依存していることを示しており、一つの目標を達成することが他の目標の達成にもつながるという考え方です。
ここでは、企業がSDGsに取り組むメリットについて詳しく解説します。
2030年までに国際社会が目指す目標
SDGsは、国際社会全体で持続可能な発展を目指すために2015年に国連で採択された目標群です。
これらは、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書に記され、人間、地球、繁栄のための行動計画とされています。
このアジェンダは、全ての国や関係者が協力し、2030年までに持続可能な開発を達成するための共通の指針として機能します。その中で、経済的、社会的、環境的な側面を総合的に考慮し、持続可能な世界を実現するために努力することが求められているのです。
17の目標
SDGsの中核となる「17の目標」は、国際社会が共に取り組むべき具体的な課題を示しています。
17の目標
- 貧困
- 飢餓
- 健康
- 教育
- ジェンダー平等
- 水と衛生
- クリーンなエネルギー
- 経済成長と雇用
- 産業とイノベーション
- 不平等の是正
- 持続可能な都市
- 責任ある消費と生産
- 気候変動対策
- 海洋資源の保護
- 陸域の保全
- 平和と公正
- グローバル・パートナーシップ
17の目標は以上の広範囲にわたる領域をカバーしています。各目標は、具体的な指標やターゲットを持ち、持続可能な社会の実現に向けた具体的なアクションプランとなっています。
これらは、単なる指針ではなく、実行可能なステップを通じて、グローバルな課題に対処するための共通の目標です。
169のターゲット
SDGsの「169のターゲット」は、17の目標を達成するための具体的なステップです。これらのターゲットは、各目標に対して5から10の具体的な目標や手段を設定しており、持続可能な開発に必要な詳細な行動計画を提供します。
例えば、貧困撲滅の目標には、極度の貧困の撲滅や社会的保護制度の実現といった具体的なターゲットが含まれます。
また、飢餓の終焉を目指す目標には、食料安全保障の確立や栄養改善の推進がターゲットとなるのです。
これらのターゲットは、国際社会が共有する明確な基準となり、各国や組織が自身の活動や政策を計画し実施する際のガイドラインとして重要です。
全体的に、169のターゲットは、より具体的で実行可能なアクションを通じて、持続可能な世界の実現に向けた道筋を示しています。
5つのP
SDGsの根幹を成す「5つのP」とは、People(人々)、Prosperity(繁栄)、Planet(地球)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ)の5つの要素を指します。
これらは、持続可能な開発を実現するために重要な5つの領域です。
Peopleではあらゆる人々の健康と福祉を重視し、Prosperityでは経済的な繁栄と全ての人々の生活の向上を目指します。Planetは自然環境の保護と持続可能な資源の利用を強調、Peaceは平和で包摂的な社会の促進を示します。
最後のPartnershipは、これらの目標達成のために必要な国際的な協力と連携を示しているのです。この5つのPは、SDGsが単に環境問題に限らず、社会的、経済的な側面も含めた全体的な持続可能性を目指していることを表現しています。
ウェディングケーキモデル
ウェディングケーキモデルは、SDGsの目標をより理解しやすくするためのアナロジー(類推志向)です。
このモデルでは、SDGsの17の目標をケーキの一番上の層として表現し、それを支える基盤として「生物圏」、「社会圏」、「経済圏」の3つの層を設定しています。
生物圏は自然環境を、社会圏は人々の福祉や平等を、経済圏は持続可能な経済成長を象徴しています。このモデルは、SDGsの目標がこれら三つの層に依存しており、相互に関連していることを示しているのです。
持続可能な開発のためには、これらの層がバランス良く機能することが重要といえます。
企業がSDGsに取り組むメリット
企業がSDGsに取り組むことで得られるメリットは多岐にわたります。ここでは、ビジネスチャンスの創出、CSR活動を通じた生存戦略の拡大、企業ブランディングの強化、そして社会問題への積極的な対応による利点を具体的に解説します。
ビジネスチャンスの創出
SDGsに取り組むことは、新たなビジネスチャンスの創出につながります。持続可能な製品やサービスの需要が高まる中、企業は環境や社会に配慮したイノベーションを推進することで、新しい市場の開拓が可能です。
例えば、再生可能エネルギー、エコフレンドリーな素材の使用、持続可能なサプライチェーンの構築などが挙げられます。これらの取り組みは、環境保護や社会貢献を重視する消費者層の関心を引き、結果として新しいビジネス機会を生み出すことに寄与します。
CSR活動による生存戦略の拡大
SDGsをCSR活動に統合することにより、企業の生存戦略は大きく拡大します。
このアプローチは、企業が社会的責任を果たしつつ、環境保護や社会的公正に貢献する方法を模索することを意味します。
例えば、エコフレンドリーな製品の開発や、地域社会への投資、従業員の福祉向上などが考えられるでしょう。これらの取り組みは、消費者や投資家からの信頼を高め、ブランド価値の向上に寄与します。
また、社会的責任を果たすことによって、企業は長期的な視点でのビジネスの持続可能性を確保し、競争力を強化できるのです。
企業ブランディング
SDGsへの取り組みは、企業ブランドの強化に大きく寄与します。SDGsに沿った活動は、企業が社会的責任を重視していることを示し、消費者やビジネスパートナーに対してポジティブな印象を与えるでしょう。
例えば、環境保護、社会的公正、労働条件の改善などの取り組みは、企業が倫理的かつ持続可能なビジネスをおこなっているという信頼を築きます。これにより、ブランドの評判が高まり、消費者のロイヤリティや新規顧客の獲得にもつながるのです。
また、投資家やビジネスパートナーからの信頼も得られ、企業の長期的な成功に貢献します。このように、SDGsへの取り組みは、ブランド価値の向上という形で企業にメリットをもたらします。
社会問題の解決
企業がSDGsに取り組むことにより、社会問題への対処はより効果的に進展します。SDGsは、環境保護、貧困削減、ジェンダー平等、教育へのアクセス改善など、多岐にわたる社会問題に対処するための具体的な目標を提供しています。
企業はこれらの目標に沿った取り組みを通じて、自社の事業活動を社会的に意義のあるものに変えることが可能です。例えば、持続可能な製品の開発、地域社会への投資、公平な労働環境の促進などが含まれます。
これらの活動は、企業が直面する社会的課題に具体的な解決策を提供し、より良い未来への道を切り開く助けとなります。
SDGsの取り組み方
SDGsの取り組み方は、企業と個人のレベルで異なります。ここでは、企業がSDGsにどのように取り組むべきか、また個人が日常生活でSDGsを実践する方法について解説します。
企業のSDGsへの取り組み方
企業がSDGsに効果的に取り組むためには、戦略的なアプローチが必要です。
企業はSDGs17の目標の中から自社の事業と密接に関連するものを特定し、それに基づいて具体的な行動計画を立てるべきです。
この計画には、持続可能な製品開発、環境への配慮、社会的責任の果たし方などが含まれます。さらに、企業は内部の意識向上を図るために従業員教育をおこない、関連するステークホルダーとの協力関係を築くことが重要です。
このように、企業がSDGsへの取り組みを経営戦略の一部として統合し、実践することで、持続可能な未来への貢献と同時に、ビジネスの成長と発展を図れます。
個人のSDGsへの取り組み方
個人が日常生活でSDGsに貢献するためには、環境や社会に配慮した選択を心がけることが重要です。
例えば、再生可能エネルギーの利用、公共交通機関や自転車の利用、廃棄物の削減やリサイクルへの取り組み、地元の農産物の購入、エネルギー効率の高い家電製品の選択などが挙げられます。
また、地域社会でのボランティア活動や、持続可能な開発に賛同する企業の商品やサービスを選ぶことも有効です。これらの小さな行動が積み重なることで、より持続可能な社会の実現に貢献できます。
SDGsに取り組む際の注意点
SDGsへの取り組みは多くのメリットをもたらしますが、その際に注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは、SDGsウォッシュを避ける方法、現実的な目標の設定、経営層の積極的な関与など、SDGsに取り組む際の重要な考慮事項について詳しく説明します。
SDGsウォッシュを避ける
SDGsウォッシュとは、表面上だけSDGsに取り組んでいるように見せかけながら、実際には具体的な行動や成果を伴わないことを指します。
これを避けるためには、企業や個人がSDGsの目標に対して本質的かつ具体的なアクションプランを立て、それを実行に移すことが重要です。また、取り組みの進捗や成果を定期的に評価し、透明性のある報告をおこなうことで、SDGsへの真摯な取り組みを示せます。SDGsウォッシュを避けるためには、目標設定の際に現実的かつ測定可能な基準を用い、持続的な改善と学習の機会を提供することが不可欠です。
高すぎる目標を設定しない
SDGsに取り組む際、高すぎる目標を設定することは避けるべきです。現実的で達成可能な目標設定は、持続可能な開発への貢献と組織の能力を考慮した上でおこなうのが重要です。
目標は、具体的かつ測定可能であり、組織の資源や影響力の範囲内で達成可能なものでなければなりません。例えば、環境面では、現実的な排出削減目標の設定や、リサイクル率の向上など、手の届く範囲での改善を目指すことが効果的です。
社会面では、地域社会への具体的な貢献や、職場内の多様性と包摂性の促進など、実行可能な取り組みをおこなうことが望ましいでしょう。これらの目標は、組織にとって意義深く、実行に移すことが可能なものであるべきです。
経営層が率先して取り組む
経営層がSDGsに率先して取り組むことは、企業文化に大きな影響を与え、持続可能な発展に向けた重要なステップです。
経営層がSDGsの目標にコミットすることで、企業全体の戦略や意思決定にSDGsが組み込まれ、社員やステークホルダーに対して強力なメッセージを送ることが可能です。
これは、企業の社会的責任の認識を高め、持続可能な事業慣行を推進するための動機付けとなります。また、経営層がSDGsへの取り組みをリードすることで、社員の意識も高まり、組織全体が持続可能な開発目標達成に向けて一丸となって取り組めるでしょう。
このように、経営層の積極的な関与は、企業の持続可能性への取り組みを強化し、長期的なビジネスの成長と社会貢献を実現します。
企業のSDGsの取り組み具体例
さまざまな業種の企業がSDGsに取り組む中で、SMBC日興証券は特に環境保全に力を入れています。同社は、気候変動への対策として「エコファンド」を設立し、環境関連事業への投資を促進しています。
また、環境事業に資金を提供するためのグリーン・ボンドの発行をおこない、環境への貢献に積極的に取り組んでいます。これに加え、環境マネジメントシステムの運用を通じて、企業活動と地球環境の保全の調和を図りました。
地域社会への貢献としては、地域活性ビジネスの強化や、地域社会に根ざした社会貢献活動、障がい者アスリート社員とのスポーツ支援などを実施し、コミュニティに貢献しています。このように、SMBC日興証券はSDGsの達成に向けて、環境保全から社会貢献まで多角的に取り組んでいます。
参考サイト:初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券
また、ブランディングテクノロジーでもSDGsの取り組みを行っており、公式サイトにて紹介してますので参考にご覧になってください。
SDGsへの取り組みまとめ
この記事では、SDGs(持続可能な開発目標)がどのようなものか、企業や個人が取り組むメリット、具体的な取り組み方法、注意点などを詳しく解説しました。
SDGsは、2030年までに達成を目指す17の目標と169のターゲットから構成されており、環境、経済、社会の持続可能性を高めることを目指しています。企業にとっては新たなビジネスチャンスの創出、CSR活動の拡大、ブランディング、社会問題の解決などのメリットがあります。
個人レベルでも、日常の選択や行動を通じてSDGsへの貢献が可能です。重要なのは、SDGsウォッシュを避け、実行可能な目標を設定し、経営層が取り組みをリードすることです。
本記事で解説したように自身の企業や職場でSDGsに取り組み、ブランディングやマーケティングに活かしたいとお考えの方はぜひ一度、当社へご相談ください。当グループはこれまでSDGsに取り組んできた豊富な経験から、最適なサポートをご提供できます。
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