ブランディングのコンサルティング費用・料金相場について~結論、依頼を曖昧にすると損をします~
目次
当社では中小・地方企業様向けに集客を改善するためのブランディングサービスを提供しています。数多くの支援実績を通じてブランディングにおける実践ノウハウを蓄積してきました。
本記事ではこれからブランディングを検討されている方に向け、ブランディングの費用・料金相場を押さえ、見積もり時に損しないためのポイントを解説していきます。
さらに、ブランディングの依頼や見積もりに活用できる要件整理シートも無料で提供していますので合わせてご確認ください。
まずブランディングをどの業者に見積もり依頼すべきか
まず最初に依頼先としてあがりやすい3つの業者についての傾向を説明していきます。各業者の傾向を押さえることで、目的に合った業者選定を行うことができます。対象にもよりますがブランディングを行う場合、半年~1年以上かかるケースもあるので期限から逆算して業者選定を開始していきましょう。
コンサルティング会社
1つ目のコンサルティング会社は「ブランド コンサルティング」などで検索しヒットする会社にあたります。集客や採用などの目的に特化しているケースもあれば、飲食、建築などの特定の業界に特化しているものもあります。見積もりを行う際は自社の目的や情報を整理しながら、よりマッチした会社を選ぶことが大前提となります。
コンサルティング会社の特徴
コンサルティング会社の特徴として、経営や事業戦略など企業の抜本的なブランディングを得意とする会社が多いです。その反面デザインや広告など施策はパートナーに依頼するケースが多く、マージンが発生するので費用は高くなる傾向があります。
このような方にオススメ
⇒経営や事業戦略から一緒に見直して欲しい方
⇒窓口を一本化し中長期で支援して欲しい方
⇒ブランド戦略自体に課題を感じている方
制作会社
2つ目の制作会社は「ブランディング 〇〇制作」などで検索しヒットする会社にあたります。ブランディングを行うにあたり施策がある程度決まっている場合、その施策が得意な制作会社に依頼すると良いでしょう。コンサルティング会社と同様に業界や目的に特化しているケースがあるので、施策内容と合わせて得意領域を見極めながら業者を選定していきましょう。
制作会社の特徴
制作会社の特徴としてロゴやサイトなどのデザイン実績が豊富で表現力が高い会社が多いです。施策の実行レベルが高い反面、広告やコンテンツなど施策の幅が広がった際には他社への依頼が必要になるケースが多いです。
このような方にオススメ
⇒ロゴを作りたいなどある程度施策が決まっている方
⇒業界の顧客特性として高いデザイン性を求められる方
⇒ブランドのデザインに課題を感じている方
広告代理店
3つ目の広告代理店は「ブランディング 〇〇広告」などで検索しヒットする会社にあたります。ブランディングを行うにあたり、広告における認知や訴求イメージなどに課題を感じている方は広告代理店に依頼すると良いでしょう。インターネット広告やマス広告などの「領域」や、リスティングやSNSなどの「施策」で分かれているケースが多く、ある程度行いたい施策が決まっているようであれば、その施策を得意する広告代理店を選択していきましょう。
広告代理店の特徴
広告代理店の特徴として広告における数値(各KPI)改善に長けている会社が多いです。その反面事業戦略自体の見直しや、デザイン性の制作を求める場合は対応できないケースもあります。
このような方にオススメ
⇒現在の広告施策を見直したい方
⇒広告数値を見ながら運用改善していきいたい方
⇒ブランドの認知に課題を感じている方
条件によって大きく異なるブランディングの費用・料金相場
曖昧になりがちなブランディングの費用
実際にブランディングの見積もりを取ってみると驚くことがあります。簡単に要件をまとめてから見積もり依頼を出したとしても、200万の見積もりを出す会社もあれば、1000万以上の見積もりを出す会社もあります。結果、相場感がつかめず「どこに依頼するのが正解なのか分からなくなってしまう」ケースも多いのです。
中小企業向けのブランディングの料金相場
掲載している費用は企業・事業ブランドの構築(以下範囲)を想定しています。
記載料金に踏まれる範囲:ブランド戦略の策定/コピー開発/ロゴ・VI開発/レギュレーション/ホームページ制作/冊子・動画作成など
そもそも対応する業者により料金幅が広いため相場を捉えづらい
100万~300万 :ロゴやコピーなどの制作を中心に行う制作会社が多い
300万~600万 :戦略策定~制作を行い浸透も前提にした制作会社・広告代理店が多い
600万~1000万:大規模な調査やプロモーションを行い浸透を前提にしたコンサル会社が多い
※以下はあくまで傾向/1000万以上は中堅・大手向けの場合が多い
何故、ブランディングの費用は曖昧になるのか?
それは、大きく2つの課題によるものと考えています。
1つ目は依頼精度です。ブランディングを依頼する際に、何となく「ブランドイメージを改善したい」「落ちてきている集客数値を改善したい」「ブランド全体を見直したい」など、依頼の抽象度が高いケースがこれにあたります。これを解消するためには、仮説でも良いので現在の課題を特定し、ある程度施策の目星をつけ、予算や期限を設定しておくことが重要です。
2つ目は依頼先です。依頼精度を上げることで目的や施策、予算などから要件に合った依頼先を選ぶことが重要です。曖昧な要件から依頼先を選定し見積もりを取ると価格差が大きくなってしまい、適正価格が分からなくなるケースもあります。
実際にはこの2点が出来ていないケースが多いため費用が曖昧になってしまうのです。曖昧さを解消するためには依頼精度を高めた上で依頼先を絞ることが重要です。
企業ブランディング料金の内訳例
中小企業向けの企業ブランディング(500万前後)の見積もりを例に内訳をご紹介します。
※依頼先の業者により項目や料金には違いがありますので参考までご確認ください。
項目 | 内容 | 料金 |
---|---|---|
プロジェクト進行・ディレクション | プロジェクトの進行に関わる調整業務や定例MTG開催などのディレクション費用 定例MTG開催/期間6ヶ月想定 ⇒関係者やプロジェクトの期間によって変動 |
600,000円 |
調査・ヒアリング | 社内外へのインタビューやマーケット調査にかかる費用 スタッフインタビュー/顧客アンケート/その他調査 ⇒調査範囲や回数などによって変動 |
300,000円 |
言語化・コピー開発 | ミッションやステートメントなどコピー開発にかかる費用 タグライン開発(複数案作成)やその他コピーの編集 ⇒開発や変更するコピー数や案数によって変動 |
500,000円 |
可視化・デザイン開発 | ロゴやVI(ビジュアルアイデンティティ)開発にかかる費用 ロゴ・VIの制作(複数案作成) ⇒開発するロゴや象徴ビジュアルなど案数や展開範囲によって変動 |
600,000円 |
ガイドライン・マニュアル作成 | ロゴやコピーなどの仕様を定めたドキュメント作成にかかる費用 ロゴやコピー等の仕様を定めたドキュメント(15ページ程度/データ納品) ⇒定めるべき仕様のボリュームによって変動 |
150,000円 |
ツール・メディアへの反映 | ロゴやVIを起点として名刺や封筒などの企業ツールへの反映にかかる費用 ホームページ制作(15ページ程度/撮影/取材・原稿作成/CMS構築含む)※1 会社案内冊子制作(12ページ程度/データ納品)※2 ブランド・イメージ動画制作(90秒/180秒ブランド紹介動画)※3 ⇒反映する企業ツールの数や案数によって変動 |
1,500,000円※1 500,000円※2 800,000円※3 |
社内外への浸透施策 | 新ブランドの社内外への浸透施策にかかる費用 社内イベント企画・研修実施(社内スタッフ向け説明会登壇/資料作成) ⇒範囲や期間によって大きく変動(そのため初期に行う施策以外はフェーズを分けた方が良い) |
300,000円 |
合計(税別) | 5,250,000円 |
上記は中小企業様向けのブランディング費用の一例であり、安ければ良い、高ければ悪い、というものではございません。自社にあった業者を選び、最適な施策を実行する上での適正価格かどうかが重要になります。
ブランディングの費用が高くなる原因はここにある
原因1:目的が定まっていない
企業や事業のブランディングを行う際によくあるケースとして、影響範囲が広くなるため複数の目的を立てることも多いです。(顧客からのイメージアップ/社内のエンゲージメント向上等)
結果、複数の目的を平行して追う形になり過剰に工数やコストがかかってしまうのです。
⇒目的の優先度を決めることで選択集中ができる状態にしましょう
原因2:対象範囲が定まっていない
企業であればグループ会社を含めるのか、事業であればどのサービスを対象にするのかなど、ブランディングにおける対象と範囲が明確ではない状態で見積もりを行うと、後から追加費用がかかってしまうケースがあります。
⇒影響範囲を整理した上でどこまでを対象とするかを決めていきましょう
原因3:やるべき施策が定まっていない
ブランディングにおける施策方法は年々増加し多岐にわたるため、「やった方が良いこと」と「やるべきこと」の区別をつけるのが難しい状態にあります。なので目的や条件が詰まっていない状態で施策を考えてしまうと、本来は優先度を落としてもよい施策に対し予算やリソースをかけてしまうことがあるのです。
⇒施策から考えるのではなく目的や要件を詰めてから必要な施策を検討しましょう
原因4:自社の体制を整えずに業者に丸投げしてしまう
自社に専門部署が担当者がいないことから、プロジェクト全般を業者に任せるケースも多くあります。この場合、業者側の確認や調整などの負担が増えるためコミュニケーションコストが多くかかってしまうことがあります。
⇒自社に担当をおき社内調整や意思決定などがスムーズに行える体制を作りましょう
ブランディングは“依頼の仕方”で成果も費用も変わる
ブランディングの依頼要件が曖昧な状態でプロジェクトを進めてしまうと、見積もり金額が高くなるだけでなく、成果も曖昧になってしまうことが多いです。これらの失敗を避けるためにも、初期の依頼精度を高め適正な価格で依頼をし、明確な目標や指標をもってプロジェクトを進めることが重要です。
ブランディングの依頼精度を高める10の視点
依頼前の前提としてブランディング対象を定めていきましょう。企業や事業、商品、サービスなど対象を決めた上で以下の項目を整理していきましょう。
項目 | ポイント |
---|---|
1.検討した背景 | ブランディングを依頼しようと思ったきっかけや背景をまとめておきましょう。 背景を共有することで業者からの提案の軸がぶれずらくなります。 |
2.行う目的 | ブランディングを行いどのような目的を達成したいのかを定めておきましょう。 背景⇒目的を整理することで的を絞っていきます。 |
3.求めている成果 | ブランディングに対しどのような成果をいつまでに求めているかを記載しましょう。 曖昧になりがちな指標を明確にすることで提案の精度が高まります。(ブランディングによって達成できる/できないの議論は後に行いましょう) |
4.解決すべき課題 | 目的達成や成果を出すために解決すべきだと考えている課題を整理しておきましょう。 複数の課題があることも多いので、優先度の高い課題を整理することで重要な施策を導くことができます。 |
5.行うべき施策 | 優先度の高い課題を解決するために行うべき施策を考えてみましょう。 ご自身がやるべきだと感じている施策に加え業者からの提案を引き出しやすくします。 |
6.取り巻く外部環境 | ブランディングを行う対象(企業なのか/事業・商品なのか)における市場の外部環境について記載しましょう。 業界、競合、顧客における動向やトレンドなどを共有することで、市場視点からも施策の有効性を検討します。 |
7.プロジェクト条件 | 予算やスケジュールなどプロジェクトに関わる条件を記載しましょう。 条件によっても最適な施策内容が変わってくるので予め共有すると良いでしょう。 |
8.プロジェクト体制 | プロジェクトに関わる方と役割を記載しましょう。 小さい組織であれば3名ほど(意思決定/窓口・社内調整/サポート)の社内体制を構築しておくとプロジェクトの効率が高まるでしょう。 業者任せにしすぎると調整に時間がかかったり、コストが発生することもあるので、基本両社の協力体制が必要になります。 |
9.提供できるもの | 顧客アンケートや調査レポートなどプロジェクトに関わる提供物があればまとめておきましょう。 提供できるものによっては重複する作業などを効率化することができ、予算も抑えることができます。 |
10.その他・要望 | 1~9に含まれておらず、その他伝えておくべき要望があれば記載しましょう。 スタッフの意思を集約して欲しい、イベントがあり期限を優先したい等、予め関わり方や進め方などに要望があれば共有することで相性を図ることができます。 |
後悔しないための『ブランディングの料金相場が分かる本』
経営課題を解決するためブランディングの見直しを検討されている経営者・企業担当者の皆様へ。初めて検討する際、料金相場の不明瞭さは大きな不安要素となり得ます。ブランディングと一言で言っても、対象となる範囲が広いため料金も様々です。その疑問を解消するためのガイドブックとして、料金相場の参考になればと作成いたしました。自社の課題にあった企業を選定する一助にしていただけましたら幸いです。