ブランディングを推進する上でのキーマン「兼任広報担当」と始める中小企業ブランディング
本記事では「広報担当とブランディング」をテーマに、中小企業が自社のブランディングを進める上で押さえるべきポイントを解説します。
中小企業様や地方企業様のブランディングを推進する上でのキーマンは、広報担当者です。当社でも、広報担当者は複数の業務と平行しながら広報活動を行っています。リソースや予算が限られた中でできることを当社見解を交えてお伝えします。
目次
このような方におすすめの記事です
- これからブランディングに取り組みたいと考えている
- 社内の部門間での意見が合わない
- 「ブランディング」が社内に浸透していない
中小・地方企業様こそ広報担当は必要
中小企業様や地方企業様では、以下のような理由から「広報担当はいらない」と考えている経営者様が多いかもしれません。広報の必要性を感じていても、優先度は低いと考えてしまいがちです。しかし、以下のような中小地方企業様には、兼任であろうとも広報が必要です。
広報を置かない主な理由
- プレスリリースを打つ機会がない
- 自社に特別な商品やサービスがない
- 投資家向け情報は公開していない
- イベントや催事なども行っていない
- そもそも選任で抱えることが難しい
企業規模に関わらずブランディングに注力したい企業には必要
それは、「ブランドを管理し社内外に浸透させる」という役割が企業内で分散してしまい進まなくなってしまうからです。ブランドを浸透させるためには広報担当を立て、継続的に発信や管理をしていくことが必須です。
※近い役割でブランドマネージャーという職種もあります。
広報とブランディングは親和性が高い
日経BPコンサルティングの調べでも、「今後の広報の目的」として73%が企業ブランディング(醸成 / 浸透)と回答しています。更に「今後有効な手段」として75.5%がオウンドメディアと答え、デジタルへの移行が見られます。従来のマス(テレビ、新聞、雑誌など)では密なメディアリレーションが必要になり、関係構築コストも多大にかかっていました。
こういった点からも、予算・リソースが限られる中小・地方企業様には追い風になっているでしょう。
変わりつつある広報の仕事
2016年のデータになりますが、広報会議の調べによる「各企業が注力したい広報活動」を見ると広報活動の傾向が見えてきます。参照元:調査データから読む広報の仕事
企業が注力したい広報活動
1位 メディアリレーション
2位 ウェブ・デジタルPR
3位 インナーコミュニケーション
4位 ブランド管理・マーケティングPR
1位はメディアリレーションということで、従来の広報のイメージですが、2位~4位に関しては、広報部門をもっていない企業においても非常に重要な点です。従来の広報イメージにあるような「プレスリリースの作成、及びメディアリレーションの強化からパブリシティを獲得する」というのは、ごく一部の役割であることが解ります。
近年の広報は「マーケティングプランナー」や「ブランドマネージャー」の役割も担ってきていると言えます。つまり、広報が担う領域が広がるにつれ、ほとんどの企業に必要な存在になるということです。
広報とブランディングの関係
まずは上記「各企業が注力したい広報活動」ランキングを、ブランディング領域にあてはめて考えてみます。
上記図は、自社ブランドを社内外に浸透させる活動を図解したものです。
自社のブランドを整理・管理する活動として「ブランド管理」。内部浸透・インナーブランディングの活動として「インナーコミュニケーション」。外部浸透・アウターブランディングの活動として「デジタル・マーケティングPR」をあてています。この図からも広報活動とブランディングの親和性が非常に高いことが解ります。
ブランドを軸に広報活動をすることでブランディングを推進する
自社のブランドを整理し、社内外(ステークホルダー)への発信内容を考えます。その際には、各種戦略との連携も大切です。事前に関係者とすり合わせをし発信内容とのズレを無くていきましょう。広報では会社としてのメッセージを決めるために、部門を横断しコミュニケーションをとる必要があります。
兼任広報担当に求められる4つのスキル
1.戦略思考力 / 2.コミュニケーション力 / 3.情報収集・編集力 / 4.発信力
中小・地方企業様におけるブランディングは一過性になりがちです。しかし、広報の存在が継続的なブランディング(浸透活動)を繋いでくれます。
※企業広報戦略研究所では8つの力が広報に必要と定められている
「ブランディング」を推進させるポイント
伝えたいことは何かを考える
「ブランドを発信する」と言っても、具体的な発信内容を考える必要があります。自社のブランドを整理し発信内容を考えましょう。
各ステークホルダーに対し、どんなことを伝えるべきか。もし、具体的な言葉になっていないのであれば、発信の際にヒアリングをしてまとめましょう。さまざまな角度から企業を照らし発信することでブランドがより明確に浮き出てきます。
私たちの場合は、「ブランドメッセージ」という軸になる言葉を定めています。社内外問わず自分たちの考え(ブランド)を宣言する言葉です。伝えたいことが増え、言葉が混在してきたときには、このように構造化しましょう。※似たような言葉は統廃合する等して混乱をまねかないようにする
ブランドをどう届けるかを考える
伝えたいこと、伝えたい相手が決まったら「どう届けるか」を考えます。ステークホルダーとの接点(タッチポイント)をよく観察し、持つべき広報チャネルを考えます。
この際に忘れがちなのが「人」の観点です。特に「スタッフ」は日々お客様と対面しブランドイメージを創っている“キーマン”です。スタッフから家族、地域にも伝わっていく…と考えると重要性が理解できるはずです。
社内協力体制を仰ぐための仕組みを整える
「スタッフ」が企業ブランディングを推進する上での要になります。先ほどのランキングで「インナーコミュニケーション」が3位にあったのも納得できます。つまり、社内広報も優先度を上げ活動バランスを取っていく必要があります。
また、広報戦略を基に社内協力体制を仰ぐための仕組みを考えていきましょう。限られたリソースの中で進めていくためにも、仕組み化は最初にしておく必要があります。社内の協力体制が必要になるので、目的や意義、効果などを説明できるようにしましょう。
12のチェック項目
ここまでの流れを要点化したものを下記にまとめました。今一度自社の活動にあてはめて、見直していただけたらと思います。
- ブランディングに注力する企業には広報担当が必要
- 広報の目的として企業ブランディングが最も多い
- ブランディングと広報活動の親和性が高い
- 広報の役割が変わり多くの企業にとって必要になる
- 部門や戦略の横断が必要
- 兼任担当から始めてみる
- スキルセットを定義し育成する
- 伝えたいことは何かを整理する
- ステークホルダー(誰に)を整理する
- 広報チャネルからの発信体制を構築する
- 企業ブランディングでは社内広報に重点を置く
- 継続発信+運用改善の仕組みを構築する
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最後までお読みいただきありがとうございます。
広報活動に対し十分なリソースを充てられている中小・地方企業様は少ないはずです。それはやはり、中長期での取り組みで投資対効果が見えづらく、抱えるにも経営的な体力がいるという点が大きいからです。
兼任広報という限りられたリソースの中で、いかに成果を出していくかを考えていくと、日常の業務から自然に広報トピックスが発生する仕組みや、人事制度と連動させ内部浸透を加速させる仕組みなど、仕組みの設計がとても大切です。更にこれらの仕組みを動かしていくためには、自身も部門横断しながらコミュニケーションを取り、さまざまな業務に関わる必要があります。
このようなバランス調整が必要な「兼任広報」の取り組みについて、本記事が少しでもお役に立てましたら幸いです。
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