プライベートブランド注文住宅の売上構成が1割から7割に!地元密着型工務店のマーケティング成功ノウハウとは
当社は創業以来、建築・工務店業界のwebサイト制作を1200件以上の手掛けて参りました。
今回は、当社で企業・サービスブランディングを行い、自社のオリジナルプライベートブランド商品である注文住宅の認知拡大に伴い、直近2年比で全体の売上を20%増加させることができたお客様に取材をさせていただきました。
お話を伺うのは、大分県で注文住宅を手がける株式会社 豊後夢工房(ぶんごゆめこうぼう)様。 暮らす人の心を癒やし、家族との絆を育み、子育てをサポートする住まいづくりを目指している工務店様です。
目次
減少傾向の新築棟数、2030年までに30万戸減の予測
今回、同社が企業・サービスブランディングに踏み切った背景には、大きな危機意識があったといいます。その危機意識とは、一言でいうと新築棟数の減少。
新築住宅棟数が減少しているのは中小工務店だけではなく、全国的にフランチャイズビジネスを展開している大手工務店も例外ではありません。
このような流れを受け、同社も含めたフランチャイズ加盟している工務店の中には、FC本部に頼りきりにならないためにも、自社のプライベートブランドの開発と販売に頭を悩ませる企業様も多くいらっしゃると思います。
そのような中、なぜ大分県の地元密着型工務店である同社が、自社プライベートブランドの新築棟数を20%増加させることができたのか。同社の代表取締役社長 永井賢次 様にお時間をいただき、昨今のマーケティング施策おける変化について伺いました。お客様インタビューの後半で、戦略の裏側を一部公開します!
売上20%増加できた秘訣をインタビュー
フランチャイズ加盟店ならではの課題認識
-今回のお取り組みを始める以前は、どのようなところに課題を感じていたのでしょうか?
まず、建設業界全体の実情として「新築棟数の減少」があります。新しく家を建てる人が減っている中、当社も他工務店様もさまざまな取り組みを行っています。
例えば、当社では多様化するお客様のご要望に対応するためにFC(フランチャイズ)ブランドとPB(プライベート)ブランドを合わせた複数のラインナップをご用意しています。以前感じていた課題の1つが、2つのブランドの割合にありました。
年間棟数9割がFCブランド、1割がPBブランドだった
当社の資産であり、利益に直結するPB商品の認知度・販売数が伸び悩んでいたのです。加えて、FCブランドの受注棟数にも減少傾向が見受けられるようになりました。そのため、PB商品の認知度・販売数の向上は急務でしたね。
-認知度・販売数を向上させるためのお取り組みは、以前も行っていたのですか?
以前は、主にオフラインアプローチに取り組んでいました。大分県内3か所の住宅展示場に出展したり、チラシやポスティングをしたりしていましたが、思うようには集客に繋がらない状況でした。
そんな時たまたまブランディングテクノロジーさんと出会い、本格的に自社のブランド価値を見直し、それらが伝わる戦略を施策に落とし込んでおくことになりました。
2年でPBブランド棟数が7割まで逆転!全体の注文住宅売上が20%増加!
-PBブランドの認知向上を目指しておられた中、今回はどのような取り組みを行いましたか?
例えば、新しい住宅展示場のオープンにあわせて公式サイトをリニューアルし、web広告施策と絡めてオンライン集客を行いました。 リニューアルにあたっては、以前のサイトにはなかったコンセプトコンテンツ(スタッフ紹介、施工事例、ブログなど)を厚めに作成しました。他にも、注文住宅は長期検討サービスなので、一度サイトを訪れてくださった方々に再度想起していただくための取り組みもご提案いただきましたね。
-さまざまな取り組みを行った結果、変化はありましたか?
2年間で全体の売上が20%伸びました。これは、PB商品の認知拡大が影響した大きな変化だと感じています。
加えて、以前は月間資料請求数が0件だったのに対し、今はコンスタントに毎月資料請求が発生しています。
当初課題として感じていたPBブランドの認知度向上は徐々に実現できていると感じますし、今後も伸びていくことが期待できると思います。より多くの方に「豊後夢工房」という名前とPBブランドを認知していただき、売上の向上にも繋げていけるよう、引き続き取り組んでいきたいです。
注文住宅購入におけるWebマーケティング戦略例
ここで今回の事例と合わせて、注文住宅建築など工務店向けのマーケティング戦略の理想像を一部ご紹介させていただきます。
注文住宅における事業ブランディング
事業ブランドの転換
豊後夢工房様の場合、当社とお付き合いする以前は「イシンホーム大分店」としてチラシや看板、モデルハウスで自社の広告を発信していました。しかし、今回はインタビューでもお答えいただいた「PB商品の伸び悩み」という課題を踏まえ、「豊後夢工房」という事業ブランドでの発信をご提案させていただきました。
豊後夢工房様のようにFCに加盟している工務店の場合、「FCブランド名 店名」豊後夢工房様のようにFCに加盟している工務店の場合、「FCブランド名 店名」といったブランド名で認知して頂けるように発信しているケースが一般的です。本来は加盟FCのルールや戦略にあわせてブランドを構築・発信していくべきですが、企業のフェーズによっては事業ブランドの転換が必要になるケースもあります。
そして、事業ブランドの転換のための施策として、アウターブランディングのためのオウンドメディア(公式サイト)リニューアルを行いました。これは、新しくオープンする住宅展示場のテレビCMが流れることをチャンスと捉え、自社サイトへの大幅流入を見込んだ施策でもあります。
リニューアル前のサイトは自社コンセプトのページがなかったため、より伝わりやすくした自社コンセプトを全ページファーストビューで確認できるように配置。そこに導線を設置し、他社との違い・会社の想いを前面に押し出しました。
目的とターゲットが違う住宅シリーズの構築
総合展示場への出展
今回の施策を考えるにあたって調べたところ、注文住宅を実際に建てたことのあるユーザーが、最初に参考にした情報の約50%は住宅展示場であることが分かりました。
その点、豊後夢工房様は既に3つの総合展示場にモデルハウスを持っているという強みがあります。
そして、ホームページリニューアルの際にこれまでモデルハウスがあった総合展示場が移転することになり、このタイミングで「豊後夢工房のリレーブ」として新しい自社商品のモデルハウスを建てようということが決まりました。
つまり、新しいホームページを見たお客様に来ていただけるモデルハウスがあったことがによって、サイトを見た人が「豊後夢工房の商品を実際に見て、触れることができる」行動先があったことがポイントです。元々あったイシンホーム(FC商品)のモデルハウスのみでは、今回の結果は得られなかったと想定できます。
展示場であることが必須ではありませんが、完成見学会やモデルハウスなど、「どこの、どういう物件に来場してもらうのか」を加味しないことには最適な効果は得られませんので、豊後夢工房様の場合、モデルハウスの移転と自社ブランドの注力のタイミングが功を奏したと言えるでしょう。
発信方法
住宅購入ユーザーカスタマージャーニーマップ
今回、事業ブランドの転換を行うにあたって、豊後夢工房様が当社に依頼したのは下記の4つです。
会社ロゴの作成(リニューアル)
ホームページリニューアル
SNS広告・動画の活用(Facebook、Instagram)
ネット広告(リスティング、ディスプレイなど)
また、豊後夢工房様では以下のような媒体でも認知拡大のための宣伝を行っています。
- 総合展示場ののぼり旗、看板
- 完成見学会チラシ
- 社用車
- 大分県の住宅専門誌
- 名刺
上記のカスタマージャニーにあるように、お客様が住宅を購買する際のプロセスは多種多様で、フェーズごとにアプローチできる媒体が変わるため、すべての広告を網羅する必要があります。
ただし、すべてと言っても優先順位は必要です。豊後夢工房様の場合は総合展示場が重要なので、モデルハウスを見てから選んでもらうための行動喚起策に重きを置きました。また、モデルハウスのある総合展示場は3つあるので、場合によっては「他の展示場に行く」というネクストアクションも用意されています。
短期施策と長期施策
豊後夢工房様のケースでは「総合展示場そのものの移転のタイミングと同時に商品をPRする」という二つの側面がありました。よって、広告の打ち出し方には注意を払って慎重に考案しています。
この施策では、総合展示場に移転することが既に決定していたため、展示場側の広告とタイミングをあわせて自社のホームページ等も配信できるよう計算し、急ピッチで作業を進めました。
また、総合展示場がCMを流すタイミングで「HIT総合展示場」や「総合展示場 大分」などのワードで検索された方へのリスティング広告も出稿しました。この広告がかなり効果的で、自社のホームページへのアクセスを大幅に伸ばすことに成功しています。
モデルハウスのオープンだけで広告を打つのは難しいのですが、「モデルハウスがオープンした」という宣伝内容を「チラシ」「ネット広告」「SNS」など、複数の媒体で告知することによって宣伝の相乗効果が期待できるのです。
また、それらの広告に付随して、サイトに訪れたユーザーに最大3カ月間追跡広告(リマーケティング広告)を配信しました。注文住宅の購入を検討するユーザーの多くは3カ月以内に業者選定をするケースが50%であるため、購買意欲の高い期間内にブランドを再起してもらう効果を狙いました。
今回の場合、PB商品の伸び悩みだけではなく、自社名の認知度不足も課題の一つでした。そこで、「フランチャイズ名+〇〇店」ではなく「豊後夢工房」として認知・検索してもらうため、潜在層向けに自社名とロゴが入ったバナー広告を配信しました。これはフランチャイズのサイトだけではなく、自社ホームページへも集客を行い、商品をより深く理解してもらった上で来場予約につなげる狙いもあります。
具体的な広告の配信内容としては、Googleのディスプレイ広告以外にも、若年層へのアプローチのためにInstagram広告とFacebook広告も使い、幅広い媒体でバナー広告を配信しました。
その結果、配信後1年半で社名検索数が160%も増加させることに成功しました!
まとめ
今後、新築棟数は2030年までに30万戸減少すると見込まれており、これまで以上に住宅業界におけるブランディングの重要性は増していくと予想されます。
新築物件を求めている人に対してPBブランドを知ってもらうための的確なマーケティングを行うことで、将来の資産となる“自社のファンの創造”につながります。
自社の認知度を向上させたい方、売上が伸び悩んで困っている方、ぜひお気軽にご相談ください。建築業界専門のコンサルタントが貴社に合ったご提案をさせていただきます!
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